2000 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜の癌化におけるfosおよびjun遺伝子ファミリーの発現の変化
Project/Area Number |
12671951
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
芝 良祐 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (00029977)
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Keywords | 前癌病変 / 口腔粘膜 / c-fos / c-jun / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
口腔粘膜の癌化過程における転写因子c-fosおよびc-junの発現の変化を調べ、いわゆる前癌病変と呼ばれる病変のうち、真に癌化するものとそうでないものを判別できるか否かを検討した。 口腔粘膜病変としては、患者から採取し当教室で保管していた白板症、扁平苔癬、乳頭腫、扁平上皮癌を対象とし、対照正常口腔粘膜組織としては、各種非腫瘍性病変の口腔内手術時に得られた口腔粘膜の一部を用いた。採取した組織は10%中性ホルマリンで固定してパラフィン切片とし、c-fosおよびc-junの遺伝子産物であるc-Fosおよびc-Junを免疫組織化学的に染色した。 c-fosおよびc-junは、正常口腔粘膜上皮では基底層と角化直前の顆粒層の細胞核に高頻度に発現したが、扁平上皮癌では両蛋白質とも発現が低下し、分化度の低いものほどその発現頻度が低くかつ弱い傾向を示した。白板症、扁平苔癬、乳頭腫などでは、c-Fos、c-Junともに種々の強さの発現を示すとともにその上皮組織内分布にも差異を生じた。しかし、これら前癌病変は症例数がまだ少なく、一定の傾向をつかむには至っていない。 c-fosおよびc-junの遺伝子産物c-Fosおよびc-Junは互いにダイマーを形成し、転写調節因子AP-2を活性化して次の遺伝子を発現するとされているが、c-Fosとc-Junの遺伝子ファミリーの種々の組み合わせによるダイマーが異なる遺伝子発現に結び付くと考えられる。各種前癌病変におけるc-Fosとc-Junの発現の仕方から癌化するか否かの判別が可能になるのではないかと考え、c-FosはDABで、c-JunはFITCでそれぞれ同一切片上に同時に染色する方法を検討している。
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