2000 Fiscal Year Annual Research Report
シクロオキシゲナーゼ2インヒビターによる口腔癌の予防と治療に関する研究
Project/Area Number |
12671957
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
山本 一彦 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20243842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
傳田 阿由美 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90110858)
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Keywords | 口腔癌 / cyclooxygenase-2 / nimesulide / ラット / 化学予防 / 4-nitroquinoline 1-oxide |
Research Abstract |
Cyclooxygenase(COX)は、アラキドン酸からprostanoidsを合成する経路の律速酵素であり、COX-1とCOX-2の二つのisozymeが存在する。最近COX-2は、種々の癌で発現が亢進し、発癌への関与が指摘されている。本研究では、舌発癌へのCOX-2の関与を明らかにする目的で、4-NQOによるラット舌発癌系を用い、舌病変でのCOX-2蛋白質の発現と、選択的COX-2阻害剤nimesulide(NIM)による発癌抑制効果について検索した。全実験に6週齢雄性F344系ラットを用いた。COX-2蛋白質の発現は、ラットに10ppm4-NQO含有飲料水を24週間投与して舌病変を作製し、Western blotting(WB)と免疫組織化学染色(IH)にて検索した。NIMの発癌抑制効果は、25-35ppm4-NQO含有飲料水を12週間投与後、150、300および600ppmNIM含有飼料を14週間投与し、発生した舌病変を病理組織学的に検索して行なった。WBにてCOX-2蛋白質は、扁平上皮癌(SCC)では約6倍の発現亢進を示した。IHにてCOX-2蛋白質は、上皮異形成およびSCCでは基底細胞、異型細胞および癌細胞が中〜強陽性を示した。一方NIMは、SCCの発生頻度と発生個数を150および300ppmにて用量依存性に有意に減少せしめた。しかし、600ppmではその抑制効果はやや減弱した。以上の結果より、4-NQOによるラット舌発癌系にて、COX-2蛋白質は上皮異形成およびSCCでその発現が亢進することが示され、また、選択的COX-2阻害剤NIMがSCCの発生に対し、抑制効果を有することが判明した。本研究結果により、COX-2が上皮異形成からSCCへの進展に関与していることが示唆され、選択的COX-2阻害剤がヒト舌癌に対する化学予防剤となり得ることが示唆された。
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Research Products
(1 results)