2000 Fiscal Year Annual Research Report
ミュータンス連鎖球菌の母子間感染の実態とその関連要因の検討
Project/Area Number |
12672010
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
阿部 晶子 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (90185992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 光勇 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (60295988)
稲葉 大輔 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (90146085)
米満 正美 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (80092451)
相沢 文恵 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (80216754)
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Keywords | ミュータンス連鎖球菌 / 母子感染 / 育児 / MSB培地 / PCR法 |
Research Abstract |
ミュータンス連鎖球菌は育児の担い手である母親から児へ感染し、その感染時期は母親の唾液中のミュータンス連鎖球菌のレベルに比例することが知られており、欧米においてはすでに、感染時期も特定されている。しかしながら、わが国においては、感染時期についての調査例は少なく、育児におけるどのような行為が母子感染に関係しているかが、未だ明らかにされていない。そこで我が国の育児状況におけるミュータンス連鎖球菌の母子感染の実態を明らかにする目的で、岩手県平泉町在住の生後3ヶ月児を持つ産婦を対象に、アンケート調査を行った。その結果、以下のことが明らかとなった。 1 児の月齢が進むに伴い、主な養育者は、母親に加えて祖父母の占める割合が増加した。 2 1歳未満での授乳での母子感染の直接の原因となりうる育児行為は少なかった。 3 1歳以降では、哺乳瓶による糖分含有飲料の摂取と母乳、ミルクの夜間の飲用がみられるようになった。 4 ミュータンス連鎖球菌の感染時期と特定されている19〜31ヶ月に近づくにつれて、離乳食の咬み与えや、食器の共有などの母子感染の原因となりうる育児行為が増加する傾向にあった。今後、感染時期との関連の検討が必要と考えられた。また、アンケート調査時に、母親の唾液、ならびに児の唾液と歯面上の歯垢を採取し、それぞれMSB培地、および MS培地に展開しミュータンス連鎖球菌の有無について調査した。今後は、MSB培地上に認められたコロニーがミュータンス連鎖球菌であるかどうかをPCR法を用いて同定するとともに、母親の唾液中のミュータンス連鎖球菌のレベルと児のミュータンス連鎖球菌の定着の時期、育児状況の違いによる児のミュータンス連鎖球菌の定着の時期などについて検討していく予定である。
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