2002 Fiscal Year Annual Research Report
TNFαを標的とした海洋無脊椎動物由来新規生物応答調節剤の探索
Project/Area Number |
12672055
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 智文 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (40182050)
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Keywords | 腫瘍壊死因子 / TNFα / ソフトコーラル / Sinuralia flexibilis / フレキシブリド / flexibilide / 抗炎症剤 |
Research Abstract |
沖縄産ソフトコーラル(Sinularia flexibilis)よりTNFα感受性マウス繊維芽細胞L-929に対する細胞毒性阻害活性を指標に活性成分の分離・精製を行い、センブラン型ジテルペンflexibilideを単離・同定した。Flexibilideは10μg/mLの濃度でL-929に対するTNFαの細胞毒性を約60%阻害した。マクロファージをはじめとする各種細胞から産生されるTNFαの分泌を阻害する化合物は数多く知られているが、既に過剰に血中に産生された可溶型TNFαや活性化マクロファージの膜表面に過剰発現した膜結合型TNFαの機能阻害物質としては天然及び、又は組換えヒト腫瘍壊死因子と反応するモノクローナル抗体、ヒト尿中より精製されたTNFα受容体の一部が知られているだけであり、flexibilideのような天然の低分子有機化合物がTNFαの機能を阻害するという知見が初めてであったことから、日本薬学会第123年会(長崎)で発表するとともに、新規医薬素材として非常に有望であると考え、(株)産学連携機構九州から特許出願を行った。また、平成13年度に沖縄産ソフトコーラル(Sinularia sp.)よりLPS刺激マウスマクロファージ様細胞RAW264に対するTNFα産生抑制活性物質として発見した2種のノルセンブラン型ジテルペンnorcembrenolideとsinuleptlideに関する研究成果をBiol. Pharm. Bull.誌に発表した。更に、福岡県小呂の島で採集した海綿(Amphimedon sp.)からRAW264に対するTNFα産生促進物質として、5種の新規スフィンゴ糖脂質Amphimelibioside類を単離し、第23回天然物国際会議(フィレンツェ、イタリア)において発表した。この研究成果については現在投稿準備中である。その他、TNFαが濃度に対応して、正あるいは負の調節因子として機能することが知られている血管新生阻害物質に関する研究成果として福岡県津屋崎で採取したコケムシ(Watersipora subtorquata)から新規アントラチオフェンbryoanthrathiopheneを単離・構造決定し、研究成果をJ. Nat. Prod.誌に発表した。
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[Publications] T.Miyamoto et al.: "Inhibitory Effect of Norditcrpcncs on LPS-Induced TNF-α Production from the Okinawan Soft Coral, Sinularia sp"Biological & Pharmaceutical Bulletin. 26(3)(in press). (2003)
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[Publications] T.Miyamoto et al.: "Bryoanthrathiophene, a New Antiangiogenic Constituent from the Bryozoan Watersipora subtorquata (d'Orbigny, 1852)"Journal of Natural Products. 65(9). 1344-1345 (2002)