2002 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア産ミカン亜科基原薬用植物の化学変異と民族生薬学的観点からの比較研究
Project/Area Number |
12672064
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
木下 武司 帝京大学, 薬学部, 助教授 (10107386)
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Keywords | ミカン亜科 / ゲッキツ / 薬用植物 / 形態的多様性 / 化学的多様性 / 化学分類学 / 民族生薬学 |
Research Abstract |
1、これまでゲッキツの名の下で、あるいはその近縁種より得られたプレニルクマリンの化学的多様性について包括的に解析した結果、化学系統的にsibiricin、gleinadiene epoxide、meranzin、phebalosinのいずれかのエポキシド前駆体に由来することがわかり、それぞれのグループに属するものをA_1、A_2、B_1、B_2タイプと命名した。ゲッキツ及びその近縁種はこれらのタイプを指標として区別が可能であることが明らかとなった。例えば、南西諸島から台湾、中国南部に産するものはB_1B_2型、フィリピン以南に産するものはAB_2型と明瞭に区別され、この結果はフィリピン国立博物館、ボゴール植物標本館ならびに南西諸島産において採集したゲッキツのさく葉標本による形態分類学検討の結果とよく一致している。また、インドネシアティモール島に産する特産変種var.zollingeriはB_2型クマリンのみを含み、形態的形質同様に化学的形質も特異であることがわかった。ゲッキツ属の分類に関しては、本研究で得られたプレニルインドール及びプレニルクマリンはゲッキツ及びその近縁種(ゲッキツ節)だけに含まれ、カルバゾール誘導体を含むM.koenigiiとその近縁種群(オオバゲッキツ節)と化学的に区別され、田中長三郎による分類は妥当であることが明らかとなった。A型クマリンとB型クマリンのいずれを含むかはゲッキツの化学分類において重要であるが、薄層クロマトグラフィによる分離後、紫外線照射により容易に区別できることがわかった。以上によりプレニルクマリン及びプレニルインドールを指標としゲッキツ属を化学分類学的に包括的に解析することができた。 2、これまでに得られた成分約70種について生物活性について検討し、フラボノイドの一部に強い抗酸化作用が見られた。ゲッキツでもインドネシア伝統医学で用いるものにはフラボノイド含量がとりわけ高く、民族生薬学的観点から興味深い結果を得た。
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