2001 Fiscal Year Annual Research Report
シクロデキストリン包接を利用した結晶化経路及び結晶成長の分子レベルでの制御
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12672090
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
平山 文俊 熊本大学, 薬学部, 助教授 (90094036)
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Keywords | シクロデキストリン / クロルプロパミド / 非晶質性複合体 / 結晶化 / 結晶成長 / 結晶多形 / 結晶工学 |
Research Abstract |
溶解性が低く、結晶多形により溶解性が変化し,さらに打錠時の圧力で多形転移するスルフォニル尿素系経口糖尿病治療薬クロルプロパミドをモデル薬物として、その結晶化・多形転移挙動を詳細に検討した。さらに、クロルプロパミドの結晶化・多形転移に及ぼす非晶質性2-ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン(HP-β-CyD)の影響を検討し、以下の基礎的知見を得た。 1.クロルプロパミドの結晶多形Form AおよびForm Cを調製し,加圧時(500-2000kg/cm^2)の多形転移を検討した結果,準安定形Form Cは速やかに安定形FormAへ転移した。一方,Form Aはこの加圧条件下で安定であった。JPXIII第一液への溶解速度はForm C>Form Aであった。 2.水溶液中におけるクロルプロパミドとCyDsとの相互作用を溶解度法,UV, CDおよびNMRスペクトル法を用いて検討した結果,クロルプロパミドは天然β-CyDおよびHP-β-CyDとモル比1:1の可溶性複合体を形成し,これらβ-CyDsはクロルベンゼン環を優位に包接することが明らかとなった。 3.クルプロマミドをHP-β-CyDと噴霧乾燥すると非晶質の複合体を形成した。この非晶質複合体は安定であり、加圧時の多形転移は観察されなかった。一方,この複合体を40℃,75%相対湿度下に保存するとForm C結晶が生成したが,Form CはHP-β-CyDマトリックス中で安定であり,Form Aへの転移は抑制された。複合体の溶解速度は準安定形Form Cに比べて著しく速かった。 以上のt気炎は、CyDsの包接作用を利用して,保存時あるいは打錠時における固体薬物の結晶化、結晶成長、多形転移などの制御が可能なこと示唆するものあり、結晶工学へのCyDsの有効利用が来たいされた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] F.Hirayama: "2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン包接による薬物の結晶化ならびに多形転移の制御"Pharm Tech Japan. 18・5(印刷中). (2002)
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[Publications] H.Yano: "Colon-specific Delivery of Prednisolone-appended α-Cyclodextrin Conjugate : Alleviation of Systemic Side Effect after Oral Administration"J. Controlled Release. 79・1-3. 103-112 (2002)
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[Publications] M.Anibarro: "Effect of Peracylation of β-Cyclodextrin on the Moleular Structure and on the Formation of Inclusion Complexes : An X-ray Study"J. Am. Chem. Soc. 123・48. 11854-11862 (2001)
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[Publications] F.Hirayama: "Transparent, Adhesive Film Formation of Per-O-valeryl-β-cyclodextrin"Chem. Lett. 636-637 (2001)
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[Publications] K.Uekama: "Stabilization and Solubilization Effects of Sulfobutyl Ether β-Cyclodextrin on Prostaglandin E_1 Analogue"Pharm. Res. 18・11. 1578-1585 (2001)
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[Publications] F.Hirayama: "X-Ray Crystallographic Characterization of Nilvadipine Monohydrate and Its Phase Transition Behavior"Eur. J. Pharm. Sci. 11・2-3. 81-88 (2000)