2000 Fiscal Year Annual Research Report
エキシマー蛍光誘導体化法による生体ジカルボン酸計測とグルタル酸血症診断への適用
Project/Area Number |
12672101
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山口 政俊 福岡大学, 薬学部, 教授 (50117280)
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Keywords | エキシマー蛍光 / 誘導体化 / ジカルボン酸 / グルタル酸血症 / 診断 |
Research Abstract |
(1)先天性代謝異常症の一種であるグルタル酸尿症のマススクリーニング及びその精査には、尿や血液中のジカルボン酸類の高感度、高選択的かつ迅速な計測法が必須である。まず、エキシマー誘導体化に基づくジカルボン酸の計測法を開発した。本法は、ピレン試薬[4-(1-ピレン)ブタン酸ヒドラジド(PBH)]が、ジカルボン酸の2個のカルボキシル基に導入され、この2個のピレン分子がエキシマーを形成し、これから長波長のエキシマー蛍光を発することに基づく。マススクリーニングとしての分光法、精査法としてのHPLC法を開発した。 (2)方法 尿試料をDMSOで10倍希釈し、孔径0.45μmのフィルターで濾過する。希釈尿200μLに0.2M EDC(水溶性カルボジイミド)100μL、40%ピリジン(DMSO溶液)100μL及びPBH(DMSO溶液)を加え、40℃で60分間加温する。 分光法:誘導体化後、反応液を1000倍に希釈し、励起波長345nmにおける蛍光スペクトルを測定する。 HPLC法:誘導体化後の反応液を移動相で10倍に希釈した液をHPLCに注入(20μL)し、各ジカルボン酸の分別定量を行う。HPLC条件:カラム:YMC-Pack ODS-AM(250x4.6mm I.D.,粒径5μm)、移動相:67%(v/v)アセトニトリル、流速:1.0mL/min、蛍光検出:励起波長345nm、蛍光波長475nm。 (3)結果、考察及び今後の方針 エキシマー蛍光誘導体化法は、ジカルボン酸に極めて特異的で、生体中に大量存在するモノカルボン酸の妨害を受けることなく、高感度にジカルボン酸を計測できる。本法により、尿や血液中のジカルボン酸を高感度、高選択的かつ簡易に計測することが可能となった。現在、本法をグルタル酸血漿患者の尿や血液に適用し、本法の有用性を確認しつつある。また、本法を用いて、グルタル酸尿症の病態研究も実施する。
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