Research Abstract |
2次元電気泳動法(2D-GE)を用いた細胞発現タンパク質のプロファイリングによる目的糖タンパク質の機能解析と単離,及びLC/MSとLC/MS/MSを用いたゲル内糖タンパク質の糖鎖プロファイリングと糖配列解析に基づく糖タンパク質糖鎖の機能及び構造解析法の開発を行った. 平成12及び13年度は,2D-GEで分離された目的糖タンパク質を想定した微量タンパク質の構造解析法の開発を行った.すなわち,グラファイトカーボンカラムを用いたキャピラリーLC/MS(CapGCC-LC/MS)による糖鎖プロファイリング法,及びCapGCC-LC/MS/MSによる糖配列解析法を開発し,2D-GEで回収可能な量(1μg程度)の糖タンパク質の糖鎖構造解析が可能であることを確認した.そこで、平成14年度は,CapGCC-LC/MSを用いた糖鎖プロファイリング法とCapGCC-LC/MS/MSによる糖配列解析法を,電気泳動法で分離されたゲル内糖タンパク質の構造解析に応用した. はじめに,t-PAをモデル糖タンパク質として用い,SDS-PAGE後,ゲル内消化を行い,ペプチド断片,及び糖鎖を回収し,CapGCC-LC/MSを用いた糖鎖プロファイリングを行った.その結果,電気泳動前と同様な糖鎖プロファイルが得られることが確認された. つぎに,細胞・組織のモデルとしてウシ脳を用い,神経網形成に関連する脳特異的膜糖タンパク質群のプロファイリングと,同定されたタンパク質の糖鎖構造解析を行った.まず,SDS-PAGEに妨害を及ぼす脂質を除去し,界面活性剤処理によって,ハウスキーピング的に多量に存在するタンパク質を除去した.目的とする膜タンパク質可溶性画分を得て,SDS-PAGEを行い,複数のバンドが得られた.t-PAに準じてゲル内消化を行い,ペプチド断片,および糖鎖を回収した.ペプチド断片を用いたCapLC/MS/MS及びデータベース検索により,NCAM, LAMP, OBCAM, Kilon,及びPrion等複数のタンパク質が同定された.さらに,CapGCC-LC/MSを用いた糖鎖プロファイリング,及びCapGCC-LC/MS/MSを用いた糖配列解析によって,これら糖タンパク質の糖鎖構造を明らかにすることができた. 以上のように,電気泳動法とLC/MS/MS,及びLC/MS/MSを用いた糖タンパク質の構造と機能解析法を開発することができた.
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