2001 Fiscal Year Annual Research Report
毒ヘビの血液に存在する3種のホスホリパーゼA_2阻害タンパク質の構造と機能
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12672137
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Research Institution | Osaka University of pharmaceutical Sciences, Assistant |
Principal Investigator |
井上 晴嗣 大阪薬科大学, 薬学部, 助教授 (70183184)
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Keywords | ホスホリパーゼA_2 / 阻害タンパク質 / 毒ヘビ / 血清タンパク / 立体構造 / 結晶化 / 構造活性相関 / 阻害機構 |
Research Abstract |
1.PLA_2阻害タンパク質の結晶化とX線結晶構造解析 約30mlの中国マムシ血清から精製したPLIα,PLIβ,PLIγについて,Hanging Drop法を用いて結晶化の条件を検討した.PLIαについては針状結晶が得られたが,PLIβとPLILγについてはまだ結晶が得られていない.得られたPLIαの結晶はSpring-8で解析したが,測定中に結晶が崩壊し,X線回折像は得られなかった.現在,結晶化の至適条件を再検討するとともに,大腸菌で発現させた組み換えタンパク質を用いた結晶化も検討中である. 2.PLA2阻害タンパク質の部位特異的変異導入を用いた構造活性相関 昨年度,中国マムシPLIαとシマヘビPLIα-LPとの種々のキメラ変異体を作製することにより,中国マムシPLIαの13〜36位の配列がPLA_2との結合や阻害に重要であることがわかった.本年度はこの領域内の部位特異的変異体を作製し,阻害活性とBIACOREを用いた相互作用の解析を行い,26,28,29位のアミノ酸残基が特に重要であることを見いだした. 大腸菌発現系を用いて発現させたPLIβはうまく再構成されなかったので,ジスルフィド結合を形成していないと考えられる2カ所のCys残基をSer残基に変異させたPLIβを作製した.現在,このPLlβ変異タンパク質がうまく再構成されるかどうか検討している. 3.PLA_2と阻害タンパク質の相互作用 中国マムシ酸性PLA_2および塩基性PLA_2を固定化したセンサーチップを用いて,表面プラズモン共鳴を測定することによって,PLIαとその変異体およびPLIβとの相互作用を測定した.その結果中国マムシPLIαの28位を変異させることによって3量体構造が不安定になることが示唆された.また,再構成したPLIβは元のPLIβとは異なり,酸性PLA_2に対しても相互作用を示すことがわかった.
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