2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト21番染色体ダウン症関連領域からクローニングされたMNB遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
12672138
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Research Institution | SETSUNAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 文昭 摂南大学, 薬学部, 教授 (80111764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船越 英資 摂南大学, 薬学部, 助手 (70299030)
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Keywords | ダウン症 / 21番染色体 / MNB / DYRK1Aタンパク質 / タンパク質リン酸化酵素 / 多角細胞 / 核移行シグナル |
Research Abstract |
ヒト21番染色体のダウン症に密接に関連した領域(Down syndrome critica region)からクローニングされたMnb遺伝子(現在はMNB/DYRKIA遺伝子という呼称に統一されている)はセリン/スレオニンとチロシンをリン酸化する酵素であり、ダウン症の発症への関与が考えられている。本研究では、このリン酸化酵素の細胞内における役割を明らかにする目的で以下の実験を行った。Mnb/Dyrk1A遺伝子をgreen fluorescent protein(GFP)融合蛋白質としてHeLa細胞に一過性に発現させると、発現量の少ない細胞では核内にdotが形成されるが、多量に発現している細胞では核全体に分布すると共に、多核細胞が形成された。GFPのみを発現させた場合は、蛍光は核を含む細胞全体に、そしてMNB/DYRK1Aタンパク質の105番目から125番目までの配列(bipartite型の核移行シグナル)にGFPを結合した場合は主として核小体に分布が見られた。また、いずれの場合もdotの形成や多核細胞の形成は見られなかた。1個の核が多型核を形成しているため1個の細胞内に複数の核が存在するように見えているのではないことを、共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡を用いて調べた細胞をいろいろな断面で切断し撮影したが、いずれの切断面においても核同士がつながった像は見られず、個々の核は1個の細胞内で独立して存在することが分かった。ダウン症は、MNB/DYRK1Aタンパク質の過剰発現が原因で起きている可能性が考えられるので、このタンパク質を多量に発現している細胞で見られる多核形成は興味深い。核分裂はチューブリンを構成成分とする細胞骨格系で制御されており、現在、GFP-MNB/DYRK1Aタンパク質を過剰に発現した細胞において細胞周期の進行と共にチューブリンがどのように変化するかを調べている。
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