2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12672140
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
中林 利克 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (30128665)
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Keywords | 細胞分化 / 骨芽細胞 / 脂肪細胞 / 振り分け機構 / 分化マーカー / 分化因子 |
Research Abstract |
TBR31-2は、SV40の温度感受性T抗原遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの未分化間葉系細胞より分離され、増殖時と分化時の培養条件が異なる特色を持つため、増殖と分化の明確な区別が可能な興味ある細胞である。さらに、TBR31-2は増殖条件下では分化の方向性が決定されておらず、分化惹起物質の選択により骨芽細胞にも脂肪細胞にも分化の振り分けが起こる。この細胞を用いて次のような結果を得た。 (1)15代ほど継体した細胞では、分化に伴い骨形成の分化マーカーである骨型アルカリ性ホスファターゼ(ALP)が分化後10日ほどで誘導され、4週間ほどで石灰化を起こす。さらに、骨芽細胞への分化を支配する特異的遺伝子群の発現をコントロールする転写調節因子であるCbfa1の発現をRT-PCR法で調べると、分化時では非常に強く発現していることが確認された。また骨芽細胞への分化を惹起する物質であるBMPでは添加後1日でALPの誘導が確認された。このように、15代ほど継体した細胞では4週間ほどで骨形成が起こることが判明した。 (2)9代と、より継体数の少ないTBR31-2細胞では、ALPが分化後25日ほどで誘導され、55日ほどが経過しなければで石灰化を起こさないことが判明した。さらに、骨形成の分化マーカーをRT-PCR法で調べるとALP、ビタミンDレセプターやオステオカルシンでは経時的に増加して20日をピークに減少し、Cbfa1やI型コラーゲンは分化とともに減少する傾向が認められた。BMPの添加では10日ほどでもほとんどALPの誘導が確認されなかった。 このように、継体数の少ない細胞ほど骨分化に長期間を要することが判明した。
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