2000 Fiscal Year Annual Research Report
高等真核細胞におけるDNAポリメラーゼεの機能解析
Project/Area Number |
12672146
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Research Institution | 国立公衆衛生院 |
Principal Investigator |
宮澤 宏 国立公衆衛生院, 衛生薬学部, 室長 (40183967)
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Keywords | DNA複製 / DNAポリメラーゼε / 遺伝子発現 / 相互作用因子 |
Research Abstract |
これまでにマウスからpolεのサブユニットと思われる4つのcDNA(POLE、DPE2、DPE3、DPE4)を単離している。出芽酵母のpolεとアミノ酸配列を比較すると、特に小さなサブユニットの方で蛋白質の大きさに大ききな違いがあった。このことは、基本的な機能は共通だが、他の機能の存在、調節制御や機能の発揮する時期の相違を示唆する。 そこで、小さなサブユニットDPE4が活性サブユニットと発現レベルでの挙動を比較した。細胞を血清飢餓によりG0状態にし血清を添加することで増殖を誘導すると、活性サブユニットがDNA合成とともに発現が誘導されるのに対して、DPE4は誘導前にもmRNAが存在し、DNA合成よりやや遅れて誘導されることがわかった。さらに、polεが修復にも関与していることが指摘されているので、紫外線照射後のpolεの各サブユニットの発現を検討した。その結果、POLE、DPE2は紫外線照射後発現がやや上昇した後、2時間後から減少し始めた。一方、DPE3、DPE4の発現量にはあまり大きな変動がなく発現していたのが観察された。以上から、大きなサブユニットと小さなサブユニットの間に発現の相違が見られること、また、DPE3、DPE4が転写因子と相同性が比較的高いところから、活性サブユニットと複合体を作らない形で存在し、別の機能も持っている可能性も考えられ、今後解析をする予定である。 機能の不明なサブユニットの機能を探る目的で、酵母の2ハイブリットの系で相互作用する因子の検索を行った。DPE2と相互作用すると思われるものに、G蛋白質のサブユニットの一つやε14-3-3などのシグナル伝達系の因子や、pendulinなどの核移行時に機能する因子があった。その他再現性良くヒストンデアセチラーゼの複合体の一つの因子が見つかった。その生理的意味を解析中である。
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