2001 Fiscal Year Annual Research Report
リポ多糖(LPS)によるマクロファージのアポトーシス誘導機構の研究
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12672147
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Research Institution | Osaka University of pharmaceutical Sciences, Assistant |
Principal Investigator |
天野 富美夫 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (90142132)
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Keywords | マクロファージ / LPS / アポトーシス / p38MAPキナーゼ / タンパクリン酸化 / シクロヘキシミド / C3H / HeJマウス / SB202190 |
Research Abstract |
LPSのマクロファージ活性化シグナルとアポトーシスシグナルがどのように異なるのかを、それぞれTNFα産生と細胞障害性による乳酸脱水素酵素(LDH)の細胞外への遊離を指標にして測定した。J774.1マクロファージを血清およびLPSの有無を変えて短時間培養し、直ちに氷冷して細胞を洗浄してLPSを除いた。その後、血清非存在下でシクロヘキシミドの非存在下または存在下で4時間培養し、活性化および細胞障害性の測定を、それぞれTNFαとLDHの定量によって行った。その結果、血清存在下ではいずれも37℃、1-2.5分間で細胞へのシグナル伝達が起きたが、血清非存在下ではTNFα産生はほとんど見られなかったのに対し、LDH遊離は30分間で有意に上昇し、1時間では血清存在下と同等のレベルに達した。これらの結果は、マクロファージ活性化とアポトーシスには異なるLPSシグナル伝達機構が存在することを示唆する。なお、血清存在下でLPSを1分間処理した後にシクロヘキシミドを添加して血清非存在下に培養して追跡した結果、従来と同様、p38MAPキナーゼのリン酸化の持続が認められた。この結果はアポトーシスにおけるLPSのシグナルは非常に短時間で伝達されることを示す。これと同様の結果がC3H/HeNマウスマクロファージで観察された。また、マクロファージ細胞表面のCD14分子をPI-PLC処理で切断してからLPSに対する応答性を調べた結果、TNFα産生もLDH遊離も血清存在下では有意な低下が認められ、アポトーシスにおけるシグナル伝達が活性化と同様、血清中のLBPなどの可溶性因子とマクロファージ細胞表面のCD14に依存することが示唆された。この結果はJ774.1細胞由来のLPS耐性変異株、LPS1916細胞がCD14の低下とLPSによるアポトーシス抵抗性をもつことに関連すると考えられる。 なお、ZnCl2がLPSによるマクロファージのアポトーシスを阻害したがTUNEL陽性細胞の出現を阻害しなかったことから、caspase3の活性化以降の過程で作用することが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ikegami, R., Sugimoto, Y., Amano, F., Ichikawa, A.et al.: "The expression of prostaglandin E receptors EP2 and EP4 and their different regulation by lipopolysaccharide in C3H/HeN peritoneal macrophages."J. Immunol.. 166. 4689-4696 (2001)
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[Publications] Tanaka, Y., Igimi, S., Amano, F.: "Inhibition of prostaglandin synthesis by nitric oxide in RAW 264.7 macrophages"Arch. Biochem. Biophys.. 391. 207-217 (2001)
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[Publications] Ishii, Y., Amano, F.: "Regulation of SulA cleavage by Lon protease at the C-terminal end amino acid, histidine"Biochem. J.. 358. 473-480 (2001)
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[Publications] Gwakisa P., Yoshihara K, Long To T., Gotoh H., Amano F., Momotani E.: "Salivary gland extract of Rhipicephalus appendiculatus ticks inhibits in vitro transcription and secretion of cytokines and poduction of nitric oxide by LPS-Simulated JA-4 cells"Vet Parasitol.. 99. 53-61 (2001)
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[Publications] Ohki, K., Amano, F., Kohashi, O.: "Lipopolysaccharide(LPS)and zymosan-resistant mutant isolated from a macrophage-like cell line, WEHI-3, with a defectiveresponse to LPS under serum-free conditions"Immunol. Cell Biol.. 79. 462-471 (2001)
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[Publications] 天野富美夫, 阪中専二, 小西良子: "鶏卵卵黄由来シアル酸含有オリゴ糖のサルモネラ感染に及ぼす影響とマクロファージ活性化作用に関する研究"第15回BACTERIAL ADHERENCE研究会 講演録. (印刷中). (2001)