2000 Fiscal Year Annual Research Report
天然由来チューブリン重合阻害物質フェニラヒスチンの分子機能-抗腫瘍活性発現に寄与する構造的因子の同定と医薬分子設計-
Project/Area Number |
12672162
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
林 良雄 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (10322562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木曽 良明 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (40089107)
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Keywords | フェニラヒスチン / チューブリン阻害剤 / 抗ガン剤 / 全合成 / ジケトピペラジン誘導体 / 分子機能 / 創薬 / 分子設計 |
Research Abstract |
平成12年度は、天然由来チューブリン重合阻害物質フェニラヒスチンの分子機能、特にその活性発現に重要な構造的因子の探索や誘導体合成に必要な合成ルートの確立を目指し、1)本化合物のX線結晶構造解析、2)化学修飾による誘導体の構造活性相関、3)(-)-フェニラヒスチンの全合成を実施してきた。 その結果、1)、2)の検討より、フェニラヒスチン分子では、diketopiperazine環とimidazole環およびその間に形成される水素結合によって擬似的な三環性の同一平面構造が構築され、この平面構造の維持が活性発現に重要であることを見いだした。この結果から、より強力なチューブリン重合阻害能を有する誘導体の創製として、この三環性同一平面構造から突き出している2つの部分、即ち、imidazole環5位側鎖およびフェニルアラニンの側鎖ベンジル部分の構造最適化が重要と考えた。この様な分子設計における誘導体の獲得にはフェニラヒスチンの全合成による合成ルート確立が大きく寄与するので、3)活性体である(-)-フェニラヒスチンの全合成に挑戦した。その結果、イソ酪酸エチルから誘導されるβ-ketoesterから、環上5位にアルケニル置換基を有するimidazole誘導体を合成後、これをdiketopiperazine誘導体と縮合することで、低収率ではあるがフェニラヒスチンおよびその類縁体であるアウランチアミンをそれぞれ1%と3%の総収率で初めて合成することに成功した。合成(-)-フェニラヒスチンは、天然品と同等の殺細胞活性を示した。ただ、合成途上ラセミ化の問題が生じ、この点の解決およびより高収率で合成可能な別ルートの開発も今後の課題として浮上してきた。しかし、今回得られた合成ルートを活用することで、次年度においてはimidazole環5位側鎖およびフェニルアラニンの側鎖ベンジル部分に注目した分子設計に基づく誘導体の合成を行えると考えている。
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[Publications] Y.Hayashi,S.Orikasa,K.Tanaka,K.Kanoh,Y.Kiso: "Total Synthesis of Anti-microtubule Diketopiperazine Derivatives : Phenylahistin and Aurantiamine."The Journal of Organic Chemistry. 65・24. 8402-8405 (2000)
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[Publications] Y.Hayashi,K.Iijima,J.Katada,Y.Kiso: "Structure-Activity Relationship Studies of Chloromethylketone Derivatives for Selective Human Chymase Inhibitors."Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 10. 119-201 (2000)
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[Publications] K.Kanoh Y.Hayashi,J.Katada,S.Kohno,I.Uno,Y.Kiso: "Synthesis and Biological Activitities of Phenylahistin Derivatives."Peptide Science. 1999. 409-412 (2000)