2000 Fiscal Year Annual Research Report
含フッ素リポソーム膜の形成とこれを利用したビタミンEの体内動態の研究
Project/Area Number |
12672163
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
熊懐 稜丸 摂南大学, 薬学部, 教授 (20057326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 和之 摂南大学, 薬学部, 助手 (10319791)
表 雅章 摂南大学, 薬学部, 助手 (90299032)
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Keywords | ビタミンE / ホスファチジルコリン / フッ素 / リポソーム / 体内動態 / 含フッ素脂肪酸 / トリフルオロメチル / ジフルオロメチレン |
Research Abstract |
本研究の目的は,脂肪酸の任意の位置にフッ素を有するホスファチジルコリンを合成し,これを用いて,含フッ素リポソーム膜を形成し,フッ素の核磁気共鳴における緩和時間を測定して,膜の挙動を明らかにし,これに及ぼすビタミンEの影響を調べて,ビタミンEの膜中の動態を解明しようとするものである. 含フッ素リポソームを作るためには含フッ素脂肪酸が必要である.本年度はこの含フッ素脂肪酸の大量合成に向けた合成法の改良に中心に研究を行った.すなわち,α,α-ジフルオロ脂肪酸の合成では,既にわれわれが開発したヨードジフルオロ酢酸を原料とする合成法では試薬が非常に高価であり,大量合成には不向きのため,プロモジフルオロ酢酸エステルを用いる反応の開発を行い,この反応については本年度の日本薬学会年会で発表の予定である.この研究の途中で,ブロモジフルオロ酢酸エステルと銅粉共存下の反応を検討し,フッ素化合物の合成法として応用性の広い反応を開発し報告した.また,本反応の利用により,今まで合成ができていなかった,ビタミンEのジヒドロピラン環部にフッ素を持つビタミンE同族体の合成にも成功した. 他方,末端にトリフルオロメチル基を持つ脂肪酸については,ほぼ原料として使える量の合成を終え,ホスファチジルコリンの中間体まで誘導している. 脂肪酸の中間にフッ素を持つ脂肪酸の合成に関しては,従来行った合成反応が応用できる見通しであり,次年度以降,含フッ素リポソームに誘導して,膜の挙動ならびにこれの及ぼすビタミンEの効果などを検討する準備がほぼ整った.
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