2000 Fiscal Year Annual Research Report
CYP2B P450誘導機構解明の新展開:誘導不全変異ラット遺伝子と転写因子の解析
Project/Area Number |
12672173
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 英之 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (40142351)
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Keywords | チトクロームP450 / CYP2B / フェノバルビタール / 誘導不全 / Odj:SDラット |
Research Abstract |
薬物代謝能の高い肝チトクロームP450のうち、CYP2Bサブファミリーはフェノバルビタール(PB)等の外来化学物質によって誘導されることが知られている。この現象は薬物の活性や毒性に深く関わることから、かなり研究されてきたが、誘導の機構についてはまだ多くが未解明である。一方、本学動物実験施設で繁殖しているSD(Qdj:SD)ラットは、phenobarbital(PB)処理によってもCYP2B2の誘導が起こらない変異ラットである(Hashimoto et al.,J.Biochem.,103:487,1988)。本ラットはCYP2BP450の発現制御機構を解析する上で極めて貴重と考えられ、誘導不全の原因を解明できれば、問題の解決に資することが期待できる。そこで申請者はこのようなアイデアを基に本変異動物の遺伝子構造を解析した。その結果、Qdj:SDラットでの誘導不全の原因はエクソンでの塩基置換や欠失等に基づく変異タンパク質の生成によるものではないことを確認した。また、誘導に重要な役割を持つと言われている遺伝子上流近位の誘導剤応答性配列(PBREM;Phenobarbital-Responsive Enhancer Module)にも全く変異は認められなかった。従って、Qdj:SDラットのCYP2B2が誘導剤に応答しない理由は、1)転写制御因子の欠陥かあるいは2)PBREM以外の遺伝子領域に欠陥であることが明かであり、問題点をかなり絞り込むことができた。現在、これらの可能性のうちどれが真実かを明かにするべく研究を継続している。
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Research Products
(1 results)