2002 Fiscal Year Annual Research Report
日本におけるバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の感染制御と治療法の検討
Project/Area Number |
12672214
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
狩山 玲子 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (40112148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
公文 裕巳 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30144760)
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Keywords | VRE / バンコマイシン耐性 / 腸球菌 / 感染制御 / 検出法 / PCR法 / 分子疫学 / トランスポゾン |
Research Abstract |
平成10年5月,岡山大学医学部附属病院へVanA型Enterococcus faeciumが腸内に定着した白血病患者が入院したのを契機に,我々はバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の問題点を認識し,その対応としての研究に着手した。その後VRE検出法,分子疫学,VRE感染症に対する併用療法の研究に携わり,その研究成果は欧和文の原著論文,総説,単行本として既に発表した。 日本でのVRE感染症および保菌者の報告数は多くないものの,全国各地で散発的に検出され拡散の兆しがある。平成14年度は,日本で分離されたVanA型VRE株のTn1546関連遺伝子群の解析を重要な検討課題として位置づけた。岡山大学附属病院で分離されたVanA型E.faeciumが,ヨーロッパ産豚由来株と同一のトランスポゾンTn1546亜型2を保有することを確認して以来,日本で分離され,我々が分与を受けたVREの分子疫学的検討を継続してきた。北九州市で1998年以降数年間にわたって分離されたVRE株は,産業医科大学・泌尿器科学教室の村谷哲郎博士および松本哲朗教授らとの共同研究として分子疫学的な検討を行った。また2002年5月に,VanA型VREのアウトブレイクが発覚した北九州市小倉到津病院のVRE約100株に加え,同市の数施設から分離されたVRE株の分与も受けており,バンコマイシン耐性を担うプラスミドおよびトランスポゾンの解析を行った。 北九州市内の2施設で1998年〜2002年に分離されたVanA型VRE株の多くは菌種ならびにパルスフィールド電気泳動法による遺伝子型は異なるものの,トランスポゾン型は同一でありVCM耐性遺伝子が菌株間を伝達した結果であると考えられた。1998年〜2000年に分離されたVRE株のうち過半数が液体培地中でバンコマイシン耐性を高頻度(10^<-3>〜10^<-6>)に伝達することを確認しており,バンコマイシン耐性遺伝子群を担う高頻度伝達プラスミドの存在により,比較的隣接する2施設でのアウトブレイクが助長された可能性が考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kenneth Van Horn et al.: "Evaluation of 15 motility media and a direct microscopic method for dete ction of motility in Enterococci"Journal of Clinical Microbiology. 40.7. 2476-2479 (2002)
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[Publications] 狩山玲子: "検査とその周辺「バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)サーベイランスに有用なmultiplex-PCR法」"Infection & Technology. 6. 10-11 (2002)