2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12672217
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
滝口 祥令 徳島大学, 薬学研究科, 助教授 (40163349)
|
Keywords | 再狭窄 / 血管内膜肥厚 / 白血球 / 細胞間接着 / P-セレクチン / Mac-1 / Vitamin E / 酸化ストレス |
Research Abstract |
PTCA施行後の再狭窄は、初期反応として血管傷害部位への白血球の集積がみられることから、血管傷害に対する治癒過程の炎症性反応の結果と捉えることができる。白血球は、傷害により活性化された血管内膜に接着することにより活性化され、活性酸素、サイトカイン、細胞増殖因子等を産生・放出する。そこで本研究では、各種血管傷害モデルを用いて白血球接着阻害による血管肥厚抑制の可能性を検討した。なお、白血球接着は酸化ストレスにより促進されることから、Vitamin E(VE)欠乏による高酸化ストレス条件下においても検討を行った。その結果、VE欠乏ラット及びマウスでは、血管傷害後初期の白血球の傷害部位への集積増大と、その後形成された内膜肥厚の増大がみられた。白血球接着の第一段階であるselectinを介したrolling反応阻害による肥厚抑制効果をL-およびP-selectinセレクチン阻害薬fucoidinと抗P-selectin抗体を用いて検討した結果、VE欠乏群でselectin阻害により内膜肥厚は有意に抑制されたが、正常対照群ではその阻害効果は僅かであった。一方、Rolling反応に続くFirm adhesionに関与するMac-1に対する抗体処置では内膜肥厚は両群ともに抑制されなかった。また、白血球膜のL-slectin、Mac-1の刺激前後の発現量にはVE欠乏の影響はみられなかったが、血小板膜P-selectinの刺激後の発現量増加はVE欠乏群で有意に亢進していた。以上の結果より、一連の白血球接着現象のうち、初期のP-selectinを介した血小板との接着による活性化がその後の内膜肥厚形成に重要なkey eventであることが示唆され、VE欠乏群ではこのP-selectinを介した白血球接着の亢進が血管肥厚増大に関与していると考えられる。したがって、酸化ストレスを誘引する高脂血症、糖尿病などの疾患患者において、selectinを標的とした白血球接着阻害療法はPTCA後の再狭窄予防に有効であることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)