2000 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞モデルにおけるグリア細胞の修復および神経保護作用の研究
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12672232
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
谷口 隆之 京都薬科大学, 薬学部・病態生理学, 教授 (10111957)
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Keywords | 脳梗塞モデル / 中大脳動脈閉塞-再灌流 / カイニン酸 / ミクログリア / アストロサイト / ヘムオキシゲナーゼ-1 / α-シヌクレイン / チトクロームc |
Research Abstract |
本年度は、ラットを用いた中大脳動脈閉塞-再灌流モデルを作成し、経時的に、神経細胞およびグリア細胞がどのように変化するかについて、カイニン酸脳室内投与モデルと比較検討した。2時間の中大脳動脈閉塞により線条体の約半分が神経細胞死に陥っていた。その後、4、12時間、1、3、7日後では、線条体の全体、さらに大脳皮質側頭葉の広範囲に神経細胞死が引き起こされた。この時、神経細胞死に先立ち、微小管関連蛋白質-2(MAP2)は消失した。しかしながら、多量の神経細胞死が起きているコアの梗塞巣においても、パーキンソン病レビィー小体の主成分およびアルツハイマー病老人斑の非アミロイド性成分として知られているα-シヌクレインおよびチトクロームcは正常時と変わらず、死んだ神経細胞に残存していた。一方、ストレス耐性蛋白質ヘムオキシゲナーゼ-1(HO1)は修復可能なペヌンブラ領域のミクログリアおよびアストロサイトに発現したが、神経細胞には発現していなかった。また、3および7日後ではコアの梗塞巣にミクログリアが浸潤していた。In vitro実験系で、精製チトクロームcは過酸化水素により凝集された。さらにα-シヌクレインは過酸化水素およびチトクロームcによりその凝集が促進されたが、グリア細胞には発現しなかった。以上のことから、脳梗塞-再灌流により発生した酸化ストレスはチトクロームcおよびα-シヌクレインの凝集性を促進し、神経細胞特異的に障害を引き起こすこと、一方 HO1を発現したグリア細胞は修復され、さらに梗塞巣に浸潤して、神経細胞を修復しようとしていることが推定された。今後、その詳細なメカニズムを解析していく予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yoshihisa Kitamura et al.: "Interleukin-4-inhibited mRNA expression in mixed astrocyte and isolated rat microglail cultures."Journal of Neuroimmunology. 106・1-2. 95-104 (2000)
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[Publications] Kazuyuke Takata et al.: "Increase of Bcl-2 protein in neuronal dendritic process of cerebral cortex and hippocampus by talipexole and pramipexole, antiparkinsonian drugs."Brain Research. 872・1-2. 236-241 (2000)
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[Publications] Yoshihisa Kitamura et al.: "Aryl hydrocarbon receptor nuclear translocator (ARNT) is induced by kainic acid in hippocampal glial cells."Neuroscience Letters. 291・2. 117-120 (2000)
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[Publications] Yoshihisa Kitamura et al.: "α-Synuclein protein is not scavenged in neuronal loss induced by kainic acid or focal ischemia."Brain Research. (印刷中). (2001)
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[Publications] Yoshihisa Kitamura et al.: "Effects of 15-deoxy-Δ^<12,14> prostaglandin J_2 and interleukin-4 in Toll-like receptor-4-mutant glial cells."European Journal of Pharmacology. (印刷中). (2001)
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[Publications] Jun-ichi Kakimura et al.: "Bip/GRP78-induced production of cytokines and uptake of amyloid-β(1-42) poptide in microglia."Biochem.Biophys.Res.Commun.. (印刷中). (2001)