2000 Fiscal Year Annual Research Report
血小板-血管内皮細胞クロストークにおけるリゾリン脂質の関与
Project/Area Number |
12672240
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
矢冨 裕 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (60200523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉 若梅 山梨医科大学, 医学部, 助手 (30303423)
佐藤 金夫 山梨医科大学, 医学部, 教務職員 (20242662)
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Keywords | 血小板 / 血管内皮細胞 / リゾリン脂質 / リゾホスファチジン酸 / スフィンゴシン1-リン酸 |
Research Abstract |
本研究では,リゾリン脂質性メディエーターとして一つの生理活性脂質のグループを形成していると考えられるリゾホスファチジン酸(LPA)とスフィンゴシン1-リン酸(Sph-1-P)の血小板-血管内皮細胞クロストークにおける役割,さらには両者の相対的役割を明らかにすることを目標としている. 本年度は,活性化血小板におけるLPA,Sph-1-Pの産生・放出を比較検討した.^<32>P正リン酸標識血小板を種々の条件下で刺激し,我々が確立した方法でのリゾリン脂質抽出,薄層クロマトグラフィー,オートラジオグラフィーを施行して解析した.活性化血小板からは,LPAに比しSph-1-Pが圧倒的な優位性を持って放出されることが判明した.また,活性化血小板からのSph-1-P放出が外液中のアルブミン存在下において飛躍的に高まること,アルブミンがSph-1-Pのキャリアー蛋白質として働く可能性があることも示すことができた.さらには,ヒト臍帯静脈血管内皮細胞を用いてカルシウム動員,細胞骨格の再編成,遊走などの機能を観察したところ,Sph-1-PがnMオーダーで強力な作用を示したのに対し,LPAの作用は非常に軽微であった.血小板-血管内皮細胞クロストークにおけるSph-1-Pの重要性を示すものである.これらの重要な知見をBlood誌に公表することができた. 現在,血小板だけでは説明できない血清LPAの産生源を明らかにするため,活性化血小板由来のリパーゼの解析を共同研究で行っている.
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