2001 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素(NO)の各種病態との関わり:臨床症例と動物基礎実験による解析
Project/Area Number |
12672257
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
東野 英明 近畿大学, 医学部, 教授 (40122098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 佳奈 近畿大学, 医学部, 助手 (60278653)
田渕 正樹 近畿大学, 医学部, 助手 (20340771)
丹羽 淳子 近畿大学, 医学部, 助手 (60122082)
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Keywords | 高血圧 / SHRSP / 血中NOx濃度 / NOSアイソザイム / 内膜依存性血管弛緩 / 動脈硬化 / 加齢 / 炎症性疾患 |
Research Abstract |
高血圧モデルとしてのSHRSPラット、SHRSPに平滑筋弛緩薬のヒドララジンやアンジオテンシンI変換酵素阻害薬のカプトプリルで降圧治療をした場合の血中NOx濃度・NOSアイソザイム変化・内膜依存性血管弛緩反応、およびヒト疾患、特にヒト高血圧症、健康人の血中NOx濃度を測定して解析した結果、以下の結果・結論が得られた。 1.血中NOx濃度は高血圧とは直接関連しなかったが、ラットでは硬化性変化、ヒトでは粥状動脈硬化性病変の進展に伴い増加した。 2.健康人の場合、血中NOx濃度は加齢に伴い増加していた。他方、ヒトと比べ短命(約2年)で動脈硬化症とならない正常血圧のWKYラットでは血中NOxは加齢とは関係なく生存中は低値を持続した。 3.SHRSPで高血圧または加齢に伴って増加した血中NOx濃度はヒドララジンのような平滑筋弛緩薬では抑制できなかったが、アンジオテンシンII産生阻害薬であるガプトプリルのACEI薬で抑制できた。 4.SHRSPで高血圧または加齢に伴って増加した血中NOx濃度はNOSアイソザイムを観察した結果、内膜や中膜層でiNOSやnNOSの過剰発現に依っていると思われた。 5.SHRSPに降圧薬を投与した実験結果から、ACEIは形態的には動脈の高血圧に伴うリモデリング抑制し、機能的には内膜機能を維持し循環を改善することが明らかとなった。 6.ヒトの血中NOxを測定して解析した結果、急性腸炎、関節リウマチ、腎不全、心筋梗塞、C型肝炎、癌患者、高尿酸血症、骨粗鬆症の各炎症性疾患で血中NOx値が高かった。したがって、これらの疾患の病状・病態把握や予後判定にその測定が役立つ可能性の知見が得られた。 7.健常人でも血中NOxの測定は、加齢と強い相関性を示したため、加齢による臓器変化が捉えられることが示唆された。
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