2001 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌早期診断のための血中アミリン濃度の特異性と感度の検討とアミリン測定法の改良
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12672260
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
立石 カヨ子 福岡大学, 医学部, 助教授 (60179728)
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Keywords | IAPP / プロテアーゼによるアミリン分解 / 高アミリン濃度 / CA19-9 |
Research Abstract |
アミリン(islet amyloid polypeptide : IAPP)の膵癌マーカーとしての有用性を米国Mayo Clinicとの共同研究で検討した(平成12年度)。その結果、健常人に比べて、高濃度の血中IAPPは膵癌患者において検出されたが、切除可能な膵癌の検出感度はCAl9-9よりも低かった(40% vs 75%,P<0.001)。この有用性の低さは血中のプロテアーゼによるIAPPの分解による可能性が否定できなかったので、採血時に血液に添加するプロテアーゼ阻害剤の検討をおこなった。血液1ml当たり2μg antipain dihydrochloride,25μg elastatinal,0.5μg leupeptin及び0.5mgEDTA(PIM)を加えた試験管に採血し、直ちに血漿分離して測定まで-80℃で保存した。このような血漿試料においてIAPPは4℃で2時間安定であった。一方、一般的にペプチド測定に適用されているアプロチニンとEDTA添加血漿試料に加えられた合成IAPPの免疫活性は4℃、2時間で16%失われた。PIMを加えた適切な血漿試料を用いてIAPPの膵癌マーカーとしての有用性を再検討した。その結果、健常人のIAPP濃度は1.8-5.93pmol/Lの範囲内にあり、膵癌患者の平均濃度は健常人に比較して有意に上昇していた(7.1±0.9 vs 4.0±0.3pmol/L、P<0.001)。しかし、ラ氏島細胞癌、胆嚢癌、十二指腸乳頭癌、腎癌、及び慢性、急性の膵炎の患者の一部においても高値が見られた。カットオフ値を6pmol/Lとした場合の感度と特異性はそれぞれ47%と73%で、適切に処理された血漿試料を使っても、膵癌の検出のためのIAPPの有用性を有意に上げることは出来なかった。上記の測定系(RIA)と異なった抗原認識部位を検出するEIAで測定した場合と比較しても(両測定法の相関係数は0.83)感度と特異性において差は見られなかった。このように、IAPPは単独では早期膵癌検出の有用なマーカーにはなりえないと結論された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Setsuya Sakagashira: "S20G mutant amylin exhibits increased in vitro amyloidogenicity and increased intracellular cytotoxicity compared to wild-type amylin"American Journal Pathology. 157・6. 2101-2109 (2000)
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[Publications] 立石カヨ子: "血漿アミリン(IAPP)の濃度測定の膵癌診断への有用性"臨床化学. 29・Supp.2. 296 (2000)
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[Publications] Kayoko Tateishi: "Plasma islet amyloid polypeptide is not an effective marker for pancreatic cancer even when protease inhibitors and rapid freezing of specimens are utilized"Clinical Chemistry. 47・11. 2071-2073 (2001)
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[Publications] Kyoko Miyasaka: "Inhibitory effect of somatostatin on cholecystokinin release is independent of luminal cholecystokinin-releasin factor content in conscious rats"Pancreas. 23・4. 414-420 (2001)