Research Abstract |
在宅における夜間介護が血圧動態と疲労感に及ぼす影響を調査することを目的とし,平成12年から4年間の計画で行っている。家族介護者を対象とし,24時間血圧日内変動(携帯用血圧モニタシステム;スペースラブメディカル社製90217),疲労感(CFSH-H;主婦用蓄積的疲労徴候インデックス),24時間活動量と睡眠・覚醒判定(アクティグラフ;米国A.M.I社製)などを調査している。検査成績は,血圧はABPレポートマネージメントシステムを用いて解析し,睡眠・覚醒はACT2000を用いZero Crossingモードにより判定し,EXCELおよびSPSSにて統計処理を行っている。既に68名(女50名,男18名)のデータ収集と分析が終了し,現在も引き続き調査を行っている。 68名中,夜間も介護していた人が35名(夜間群;64.1±10歳,睡眠6.2±1.3時間,覚醒回数2.2±1.3回,覚醒1.5±1.2時間,熟睡感無し57.1%),日中だけの人が33名(日中群;63.9±10.3歳,睡眠6.2±1.4時間,覚醒回数0.9±0.9回,覚醒0.8±1.0時間,熟睡感無し18.2%)いた。2群間の覚醒状況と熟睡感には差が認められた。non-dipper者(夜間の血圧低下率10%未満)の割合は,収縮期血圧では夜間群17.1%,日中群30.3%,拡張期血圧では夜間群17.1%,日中群21.2%であり,いずれも差がみられなかった。高血圧治療の必要があった人は,夜間群では内服者12名に加え,あらたに7名が確認され,合計19名(54.3%)だった。日中群は合計20名(60-6%)だった。女性の疲労感は基本値と比較すると,2群ともに一搬的疲労感,身体不調,気力の減退が高く,さらに日中群は不安感が高かった。男性は2群ともに一般的疲労感が高く,夜間群は女性の夜間群と類似していた。 以上より調査の途中であるが,夜間介護による睡眠への影響は示されたが,血圧と疲労感への影響は明らかにならなかった。しかし夜間介護の有無に関わらず,介護による心身への影響が推察された。
|