2000 Fiscal Year Annual Research Report
足浴ケアが術後排尿困難の改善に与える効果に関する検証
Project/Area Number |
12672272
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
豊田 久美子 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (30252505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
降田 真理子 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80314144)
澤井 信江 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (30303788)
小澤 三枝子 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (90273416)
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Keywords | 足浴ケア / 術後排尿困難 / 自律神経 |
Research Abstract |
1.術後排尿困難に関連する因子の再検討:国内外の文献検討を行い、年齢・性別・麻酔法・手術法・塩酸モルヒネ・バルーン抜去時期・留置期間・硬膜外チューブ挿入期間・泌尿器疾患の有無・床上排泄経験の有無の関連因子を絞り込んだ。 2.研究デザインの再検討:排尿のメカニズムを形態機能面から詳細に検討し、留置カテーテルによる人工的な排尿パターンから自然な排尿パターンを取り戻す過程においては、"尿意を感じる⇒排尿する"の二期に分けて厳密に分析する必要があるという結果を得た。特に尿意を感じてからの下腹神経(交感神経)の抑制と骨盤神経(副交感神経)興奮は、きわめて重要である。また、尿の流出開始そのものによって陰部神経(体制運動神経)が興奮し、本格的排尿を導くことが明らかになった。これは、従来経験的に述べられてきた、陰部に水を流すケアや水の音を聞かせることの根拠の解明に通じる。足浴による自律神経の解明と、"お湯に足をつけることで得られる感覚"が導く排尿パターンに着目した研究デザインを構築した。 3.足浴ケアと排尿の関連を明らかにする基礎的検証:同意が得られた健康な成人女性(22〜23歳)6名に密封式足浴法を用いて10間の足浴を実施した。客観的指標として右示指の指尖部、腰背部、右膝から10cm上部の大腿前部の体表温度、鼓膜温、脈拍、血圧、呼吸数、HF(副交感神経)とLF/HF(交感神経)の活動(128秒間の平均値)を計測した。足浴前後の顕著な結果として、体表温の有意な上昇とHF活動の上昇とLF/HF活動の低下をみた。このことは、足浴によって循環の促進と交感神経の抑制と副交感神経の興奮がもたらされている事を実証し、排尿困難患者の自然排尿を促すケア介入になる仮説を導く成果と考える。
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