2000 Fiscal Year Annual Research Report
痛みを伴う処置をうける子どもへの援助に関する研究-処置を繰り返しうけることによる子どもの学習反応と看護ケアの関係-
Project/Area Number |
12672318
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Research Institution | Ishikawa Prefectural Nursing University |
Principal Investigator |
西村 真実子 石川県立看護大学, 教授 (50135092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 朗子 金沢大学, 医学部・保健学科, 助手 (40272984)
井上 ひとみ 石川県立看護大学, 講師 (50295169)
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Keywords | 子ども / 痛み / 処置 / 学習 / 反応の変化 / 看護ケア |
Research Abstract |
痛みを伴う処置を繰り返し受ける子どもの反応の変化とその意味 研究への参加について保護者の了解が得られた、10か月〜4歳半の子ども19名の採血場面54場面をビデオ撮影し(子ども一人当たりの観察場面は2〜7場面)、前後の場面から「子どもの反応の変化」を読み取った。変化を読み取った場面は35組である。「反応の変化」は、その時の子どもの心身の状態や環境的な要素によって影響されると思われる。本研究においては、そのような「子どもをとりまく内外の状況」からの影響を除外した、処置を繰り返し受けることがもたらす「子どもの内的な力」を明らかにしたいと考えている。そこで、研究者8〜10名がビデオを視聴し、反応の変化に影響している「子どもをとりまく内外の状況」を全員の一致した見解で判断し、それらによって変化したと思われる子どもの反応は「変化」として取りあげなかった。 その結果、子どもは処置を繰り返し受ける過程において「音刺激に反応してそちらをみるようになる」、「言葉が出るようになる・増える」、「身体の動きがスムーズになる」、「泣かなくなっていたのが再び泣くようになる」などの27種類の変化を示した。反応の変化に影響を与えていた「子どもをとりまく内外の状況」は、子どもの発熱や、馬乗り抑制、処置者と子どもの関係、処置者の性別、子どもへの否定的な働きかけ(強制的・命令的な言動、嘘、子どもの心理状態に相応していない言動)であった。子どもは心身の苦痛を伴う脅威的な処置であっても、それを「良い状況」の中で繰り返し受けることで、不安や恐怖で緊張していたのが、次第に自由に振舞うようになったり、感情や意思を主張するようになるほどの余裕が出てきていた。「良い状況」とは、上述の「子どもをとりまく内外の状況」がみられない状況を示している。これらの結果から、子どもへのケアの在り方が示唆された。今後、ケアに関する評価研究が必要になる。
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