2001 Fiscal Year Annual Research Report
自立支援型看護ケアスキルの開発と供給システムに関する国際比較研究
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12672320
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
松井 和子 国立国際医療センター, 国立看護大学校看護学部, 教授 (10073082)
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Keywords | 人口呼吸器 / 生活の質 / 脊髄損傷 / 自立支援型ケア / 生命維持型ケア / 地域ケアシステム / 気管切開ケア |
Research Abstract |
本年度は、前年度予備調査で解明されたケア供給タイプ別の特徴的なケアスキルとWHOの障害新概念「社会参加の制約」との関係を解明する目的で本調査を実施した。方法は、自記式郵送法調査とし、ほぼ内容による英文調査票と和文調査票を作成した。対象は人工呼吸器長期使用の脊髄損傷者(以下、VD脊損と略)とし、自立支援型ケア受給者としてカナダ、BC州のVD脊損36名、生命維持型ケア受給者として日本のVD脊損43名に自記式調査票を郵送した。その結果、有効回答率は72%(カナダBC州24名、67%、日本33名、77%)であった。分析対象者の性、年齢、気管切開の有無および人工呼吸器使用期間はケア供給タイプ別の2群間で有意差を示さなかった。2群間で有意な差を示したケア変数は、カフ付きカニューレ使用(自立支援型の皆無に対し、生命維持型が85%)、痰の吸引頻度(1日5回以上が自立型で13%に対し、生命維持型で72%、夜間の吸引なしは自立型が42%に対し、維持型は15%)、家族の介護時間(1日11時間以上が自立型で4%、生命維持型で57%)であった。他方、2群間で有意な差を示した社会参加の制約変数は、音声会話可能(自立型が100%に対し、生命維持型は33%)、介助なしに移動可能な電動車椅子の使用(自立型が100%、維持型が24%)、ベッド上で過ごす時間(24時間が維持型で58%、自立型は14時間以内が100%)、車椅子使用時間(一日10時間以上が自立型で83%、維持型で6%)、週平均外出頻度(自立型3.4±1.0回、維持型1.4±1.8回)であった。さらに生活の質的満足度は当事者(良好以上が自立型で62%、維持型で21%)、家族(良好以上が自立型で71%%、維持型で3%)ともに有意な差を示した。以上、自立支援型ケアスキルの受給者は、社会参加の制約が生命維持型の受給者に比べ有意に低くかつ生活の質的満足度は家族を含め有意に高い結果を示した。
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[Publications] 松井和子: "長期人口呼吸器使用頸髄損傷者の社会参加と関連要因"日本パラプレジア医学会. 14・1. 106-107 (2001)
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[Publications] 松井和子: "ベンチレータ使用者の生活を支えるために必要な視点"看護学雑誌. 66・2. 145-150 (2002)
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[Publications] アイリーン・ハンレイ, 松井和子監訳: "コミュニティケアへのみちのり カナダBC州における地域呼吸ケアシステムとコーディネーターの役割"看護学雑誌. 66・2. 123-125 (2002)
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[Publications] アイリーン・ハンレイ, 松井和子監訳: "ベンチレータ長期使用者のリスクマネジメント"看護学雑誌. 66・2. (2002)