2001 Fiscal Year Annual Research Report
術後患者における背部蒸しタオル温罨法の気分、疲労、活動量、自律神経活動への影響
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12672335
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
縄 秀志 長野県看護大学, 看護学部, 助教授 (90254482)
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Keywords | 背部温罨法ケア / 婦人科外科患者 / 気分 / 疲労度 / 心拍変動スペクトル解析 / 自律神経活動 / 活動量 |
Research Abstract |
本研究は婦人科外科患者を対象に術前、術後、退院後の気分、疲労度、自律神経活動、活動量の経時的変化を明らかにし、更に安静臥床と背部温罨法ケアによる気分、疲労度、自律神経活動への影響を比較することを目的とした。測定用具は、日本版POMS(気分)、自覚症状しらべ(疲労度)、心拍変動スペクトル解析の最大エントロピー法(自律神経活動:交感神経活動指標 LF/HF、副交感神経活動指標 HF)、加速度計測付き歩数計を用いて、平成12年度に患者6名(安静臥床4名、背部温罨法ケア2名)のデータ収集を行なった。 本年度、患者4名(背部温罨法ケア)でデータ収集を行ったが、対象者数が得られないために、追加研究として健常者における気分、疲労度、自律神経活動、活動量の測定と安静臥床と背部ケアにおける気分、疲労度、自律神経活動の測定を行い、外科患者と健常者との比較検討を行なうことを最終目的とした。 対象患者は子宮筋腫または卵巣のう腫の摘出術を受ける目的で入院した10名(平均年齢46.6歳)、開腹術2名、内視鏡術8名であった。健常者である対象は13名(平均年齢48.4歳)であった。 術前(手術前日)、術後(術後6-7病日)、退院後(2-3週間)の気分の変化は、緊張-不安、抑うつ-落ち込み、疲労、混乱で有意な低下を示した。自律神経活動は術前、術後、退院後で大きな変動を示さず安定していた。健常者との比較では術前患者の抑うつ-落ち込みで有意差が見られたのみであった。したがって、本研究の対象である外科患者は順調な回復をしたことが明らかになった。しかし、退院後の活動量については健常者の3割程度の回復にとどまっており、退院後の患者のQOLを上げるための看護の課題が示唆された。 背部温罨法ケアの気分への影響は患者と健常者で有意差は得られなかったが、術後患者では緊張-不安、混乱を軽減し、健常者では抑うつ-落ち込み、疲労、混乱を軽減する傾向が示唆された。また、自律神経活動への影響は、有意差は得られなかったが、患者に於いても健常者に於いても安静臥床に比しHF、LF/HFを大きく変動させる傾向が示唆され、特にケア前のLF/HFのばらつきをケア後に収束に向かわせる傾向が示唆された。
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