情動の最適化をもたらす運動と体温・脳ホルモン・免疫能の関連

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12680007
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 森谷 きよし 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40000939)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 石井 好二郎 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 講師 (30243520) ; 渡辺 明日香 北海道大学, 医療技術短期大学部, 助手 (90281831)
• Keywords: 快的自己ペース走 / 情動 / 体温 / カテコールアミン / βエンドルフィン / 自律神経 / NK細胞活性 / 夜間睡眠

Research Abstract

情動の最適化をもたらす運動として、快適自己ペース走を青年男性8名に50分間実施させ、この間10分毎に気分(Mood Check List:MCLによる)と主観的運動強度(RPE)をたずね、1分毎に心電図、体温(直腸温と皮膚温)、運動開始前と終了直後の血液カテコールアミンとβエンドルフィン濃度、血液NK細胞活性を測定、その夜の睡眠の質をポリグラフィ法とOSA睡眠調査票で検討した。これらの測定値を、同じ被験者が運動をしない対照日の同一時刻に測定した値と比較することで、快適自己ペース走の効果が明らかになった。19:30-20:20の快適自己ペース走は、トレッドミル上をウオーミングアップとクーリングダウンを含めて自由に速度を調節できること、快適な速度を選んで欲しいことを言葉で伝え、実験前に1回の練習体験をしたあとに実施した。8名の被験者の50分間の平均速度は109.5±4.1(SE)m/min、平均RPEは11.7±0.5であったが、経過中の最低値は7(非常に楽)から最高値15(きつい)、平均%心拍予備量が57.0±3.2%と中等度強度で行われた。快適自己ペース走によ,って、MCLによる快感情得点が上昇し、カテコールアミンとβエンドルフィン濃度が高くなり、血液NK細胞活性が上昇した。直腸温は50分間の運動によって平均1.65±0.13℃上昇した。運動終了30分後にリラックス感得点が上昇した。四肢の皮膚温は数分間低下した後、著明に上昇した。快適自己ペース走を行った夜の睡眠は対照夜に比べて、ポリグラフィ法とOSA睡眠調査票の両者で良いものであった。
このように情動の最適化をもたらす50分間の快適自己ペース走を行うことによって、体温が上昇し、カテコールアミンとβエンドルフィン濃度が上昇し、血液NK細胞活性という自然免疫能が高まることが明らかになった。これらの相互関連のメカニズムについて、今後検討を重ねていく。

Research Products

• [Publications] 渡辺明日香 他3名: "50分間の快的自己ペース走時の気分変化"北海道体育学研究. 36(印刷中). (2001)
• [Publications] 森谷きよし 他4名: "50分間の快的自己ペース走が血中NK細胞活性とカテコールアミン濃度に及ぼす影響"北海道体育学研究. 36(印刷中). (2001)
• [Publications] 侘美靖 他3名: "50分間の快的ペース走が心拍数と心臓自律神経に及ぼす影響"北海道体育学研究. 36(印刷中). (2001)
• [Publications] 小田史郎 他3名: "50分間の快的自己ペース走が深部体温と夜間睡眠に及ぼす影響"北海道体育学研究. 36(印刷中). (2001)