Research Abstract |
QOLの重要な構成要素であるモラールに焦点をあて,関連する要因を検討し,高齢者のモラールの特徴を明らかにした. 地方在住在宅高齢者男女1269名を対象に,PGCモラールスケールと14の関連要因に関する質問紙調査を実施した.その結果,次の諸点が明らかとなった.高齢者のモラールに顕著な性差はない.男性よりも女性の方がモラールと関連する生活要因が多い.配偶者がいる女性のモラールは高い.経済状態に対する満足度,食事の規則性,ボランティアの参加経験および親友の存在とモラールは関連する.仕事,喫煙,飲酒,およびスポーツの実施頻度はモラールと関連しない.なお,この結果は,論文誌「日本衛生学雑誌」に受理された(研究発表,雑誌論文欄参照). 次に,上述のアプローチに加え,前期高齢者と後期高齢者の差異を詳細に検討した.その結果,次の諸点が明らかとなった.モラールに年代差が認められ,特に後期女性高齢者のモラールは低い.規則正しい食事をしている高齢者のモラールは,後期女性高齢者を除き高い.経済状態に対する満足度は年代に関わらずモラールと関連がある.ボランティア活動は前期男性高齢者においてモラールと関連がある.性および年代差に関わらず,身体あるいは健康に対する認知的評価および親友の存在はモラールを高める上で重要である.なお,この結果は,論文誌「教育医学」に掲載された(研究発表,雑誌論文欄参照). 高齢者のモラールに関連する要因として,年齢,ADLおよび生活満足度をより詳細に検討した結果,次の諸点が明らかとなった.モラール総合得点において,男性の値は女性よりも高く,80歳代の値は,60, 65, 70歳代よりも低い.ADL上位群は下位群よりもモラールが高い.モラールは身体的健康に関する満足度との関連が最も高く,次いでADLとの関連が高い.なお,この結果は論文誌「日本公衆衛生雑誌」に投稿中である.
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