2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680041
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大石 康晴 熊本大学, 教育学部, 助教授 (10203704)
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Keywords | ストレス蛋白質 / ブピバカイン / 筋損傷 / ラット / ヒラメ筋 / HSP72 |
Research Abstract |
平成12年度は、成熟Wistar系雄ラットの左脚ヒラメ筋に局所麻酔薬であるブピバカイン(BPVC)を注入することにより筋線維を破壊し、その後の筋線維の再生過程におけるストレスタンパク質(heat shock protein,HSP)HSP72の発現量、筋重量および筋線維横断面積の回復変化を経時的に検討した。本実験では、ラットの左脚下腿部を約1cm切開し、ヒラメ筋に直接BPVCを約500μl注入しこれを実験脚、その対照脚ヒラメ筋をコントロール脚とした。注入後1日、2日、4日、1週、2週、4週目にヒラメ筋を摘出し、各群の筋重量、筋線維タイプごとの横断面積、ウエスタンブロッティング法によるHSP72の発現量の分析を行った。その結果、HSP72はBPVC注入後24時間以内に顕著な低下を見せたが、2日目以降その発現量は徐々に増加し、4週目にはほぼコントロールのレベルまで回復した。一方、筋重量はBPVC注入1週目まで低下し、その後、2週〜4週目にかけて増加を示したが、コントロールレベルまでは回復しなかった。また、実験脚ヒラメ筋の筋線維はBPVC注入後、完全に破壊されたが、4日目には再生筋線維が確認され、その後4週目までその径は増加した。しかし、コントロールレベルまでは回復しなかった。このようにHSP72発現量、筋重量および筋線維横断面積は、BPVC注入後いずれも顕著な減少を示したが、回復過程における経時的変化をみると、まずHSP72発現量の増加が先行し、次に筋線維の再生・肥大が生じ、それに続いて筋重量の増加がみられた。このような変化から、HSP72は収縮タンパク質の合成を伴う筋線維の再生・成長過程において重要な働きを成していることが推察された。
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