2000 Fiscal Year Annual Research Report
両側体肢同時動作時に見られる機能低下現象に及ぼすトレーニング効果の生理学的機構
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12680049
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Research Institution | International Budo University |
Principal Investigator |
谷口 有子 国際武道大学, 体育学部, 助教授 (80217140)
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Keywords | bilateral deficit / choice reaction time / practice / lateral specificity |
Research Abstract |
上肢あるいは下肢において両側同時に動作を行った場合、一側単独の場合と比較して機能低下(筋力の低下、反応時間の遅延;bilateral deficit)が観察されることが報告されている(Vandervoortら、1984;Kohら,1993など)。反応時間に見られるbilateral deficitについては、単純反応時間に対する反応スピードトレーニングの効果にlateral specificityが観察されないことが明らかになった.(Taniguchi,1999)が、選択反応時間に及ぼす影響については現在まで明らかにされていない。この点について明らかにすることが本年度の研究目的である。 被検者を単純両側反応トレーニング群(男性5名、女性1名)、単純一側左反応トレーニング群(男性6名、女性1名)、単純一側右反応トレーニング群(男性6名、女性1名)、選択反応トレーニング群(男性6名、女性1名)、対照群(男性6名、女性1名)の5群に分けた。両側反応時間練習群は両側反応時間課題を、一側左(右)反応時間練習群は一側左(右)反応時間課題を、選択反応時間練習群は選択反応時間課題を反応時間の計測と同様の状況で同じ装置を用いて練習した。各群は、各々の練習を10試行を1ブロックとして、1日に2ブロック行った。これを1日おきに週3日、6週間継続した。コントロール群は、反応時間に関係する練習は全く行わなかった。両側性(F(2,58)=9.92)および一側性(F(2,58)=15.76)単純反応時間は測定時点間に有意差があり(p<0.01)、LSD法を用いた多重比較により、3(両側、185±2msec;一側、180±2msec、M±SE)および6週間後(両側、185±2msec;一側、183±2msec)の選択反応時間がトレーニング開始前(両側、195±3msec;一側、192±2msec)より有意に短縮した(p<0.05)。しかし、群間に有意差は見られず、トレーニング効果の特異性はみられなかった。これは、両側性および一側性の反応スピードトレーニングが単純反応時間に及ぼす効果と同様の結果であった。したがって、「反応のすぱやさ」に関しては、レジスタンス・トレーニングの場合とは異なり、トレーニングの様式に関わらず、同程度に反応スピードが短縮することが明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 谷口有子: "トレーニングが運動中の大脳皮質活動に及ぼす効果の評価に関する研究-両側性および一側性トレーニングがトレーニングを行わなかった上肢と下肢に及ぼす影響-"武道・スポーツ科学研究所年報. 第5号. 149-159 (2000)
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[Publications] Taniguchi,Y.,Burle,B.,Vidal,F.,and Bonnet,M.: "Deficit in motor cortical activity for simultaneous bilateral finger responses."Exp.Brain Res.. 137. 259-268 (2001)
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[Publications] Seki,K.,Y.Taniguchi,and M.Narusawa: "Effect of joint immobilization on firing rate modulation of human motor units."J.Physiol.. 530(3). 507-519 (2001)
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[Publications] Seki,K.,Y.Taniguchi,and K.Narusawa: "Alterations in contractile properties of human skeletal muscle induced by joint immobilization."J.Physiol.. 530(3). 521-532 (2001)
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[Publications] 谷口有子,川津茂生,山本利春,小西由里子,小粥智浩: "動作の素早さに関する研究〜素早さのメカニズムとトレーニング効果について〜"武道・スポーツ科学研究所年報. 第6号(印刷中). (2001)