2000 Fiscal Year Annual Research Report
大都市化・開放ネットワーク時代における分都市化の意義とそのあり方に関する研究
Project/Area Number |
12680079
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
戸所 隆 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (80066745)
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Keywords | 大都市化 / 分都市化 / 21世紀型都市構造 / 水平ネットワーク / コンパクトシティ / 分権型社会 / 歩ける街 / 平成の大合併 |
Research Abstract |
20世紀を代表するアメリカ型都市は、自家用車の普及で市街地面積を拡大させ、郊外を発達させた。それは人間の都市生活における一つの理想としての田園都市の実現でもあった。しかし、自家用車対応型都市は、資源・エネルギーの浪費を招き、都市社会基盤整備にも多大な費用が必要となる。そのため、財政問題や地球環境制約が緊要な課題となる21世紀型都市に適した都市形態といえない。しかし、今日の都市は21世紀型都市現象も示す。すなわち、情報化・国際化に対応した大都市化の他方で、都市内都市といえる自立性の高い地域を多数発達させる分都市化現象がそれである。その都市構造には、都心を中心とした階層ネットワークから分都市化した地域を水平ネットワークした構造への再編成に特徴がある。あたかもコンピュータのダウンサイジングに伴う開放的水平ネットワーク・システムのごとくに都市的枠組みが変化している。そうした都市現象に関する本年度の研究結果は以下の通りである。 1)分権型社会の構築には大都市化と分都市化の推進が必要である。その実現には、歩いて暮らせ、自家用車でなく公共交通優先の自立的なコンパクトシティの形成が必要となる。 2)パリ、ロンドン、ローマ、ミラノなど西欧の歴史都市は、日本ほど市街地拡大をせず、都市として一定のまとまりを持つ中で、内部に多数の個性豊かな自立的地域社会を育てる。これはアメリカ型都市構造とは異なり、分都市から成る21世紀型都市構造への可能性を持つものといえる。 3)大都市化と分都市化の考えは、国が推進する平成の大合併のあり方にも、一つの理論を提供する。すなわち、国が強制した明治の大合併や大が小を飲み込んだ昭和の大合併と異なり、平成の大合併は情報化時代に対応し、自立した旧市町村の連携による合併・大都市化を目指すべきである。
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Research Products
(2 results)