2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680099
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
大瀧 ミドリ 上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (40056388)
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Keywords | ままごと遊び / スクリプト / スロット / 家庭保育児 / 保育園児 / 生活文化 / 母子 / 幼児 |
Research Abstract |
本年度の目的は、スクリプト及びスロットの獲得過程を子どもの年齢的発達との関連から明らかにすると共に、家庭保育児と保育園児のスクリプトの獲得過程について検討することである。対象児は、家庭保育児各年齢時(1歳時、2歳時、3歳時)44名とその母親及び保育園児16名(2歳から6歳児)である。 家庭児のままごと遊びは、対象児の誕生日の前後2週間以内に行った観察室での母子のままごと遊びをビデオに収録した。保育園児のままごと遊びは、自由保育時間帯にままごとコーナーで任意に行われたままごと遊びをビデオに収録した。ビデオ映像についてスロット及びスクリプトについて分析を行い、次の結果を得た。スクリプト及びスロット獲得過程と子どもの年齢的発達:食べると飲むに関するスクリプトの総表出数は、子どもの年齢的上昇に伴い顕著に増加することが明らかになる。スクリプトを構成するスロット数も、子どもの年齢的上昇に伴い顕著に増加し、スクリプトの構造が複雑化することも明らかになる。1歳時のスロットの獲得は、食べる行為に直接関連するものが中心となるのに対して、2歳時は食べる行為に付随する感謝・賞賛など、より文化的色彩の強いスロットに拡大し、3歳時は殆どのメインスロットが、多くの子どもに表出されるなど、スクリプトの構造化が進むことが明らかになった。子どものスクリプトの獲得は、異種スロット→同一スロット→進行スロットという方向性を持つことが示唆された。家庭保育児と保育園児の比較:家庭保育児の場合は、母親が子どものスロットと同一のスロットを表出することがままごと遊び継続の要件であるのに対して、保育園児同士のままごと遊びの場合には、子ども間でスロットの行為的側面の共有だけでなく、意味の共有を図り、進行スロットを表出することがままごと遊びを継続する要件となることが明らかになる。
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