2000 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア的視点から見た高齢・過疎地域におけるネットワーク居住の成立構造と役割
Project/Area Number |
12680109
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
金 貞均 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助教授 (10301318)
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Keywords | ネットワーク居住 / 東アジア / 高齢・過疎地域 / 分散居住 / 家族意識範囲 / 儒教思想 |
Research Abstract |
本研究は第1、高齢・過疎地域における分散居住及びネットワーク居住の形成実態を明らかにする、第2、ネットワーク居住のもたらす家族や地域の再編成構造を解明し、過疎地と都市部の違いや地域間居住連係の方向性を考究する、第3、韓国の典型的農山村地域や都市部での居住調査を通して、日本の「分散居住」における人的・物的秩序を東アジア的視点から再照明し、ネットワーク居住の国家間及び地域間違いや類似点等を比較・考察する、ことを目的とする。「東アジア的視点から見た高齢・過疎地域におけるネットワーク居住の成立構造と役割」を解明するに当り、本年度は日本と韓国の農山村地域で調査を行った。日本の高齢・過疎地域におけるネットワーク居住調査は、四国地方の過疎指定地域から本年度は二つの県の其々2地域[徳島県(佐那河内村・東祖谷山村)、香川県(池田町・塩江町)]を対象に郵送配布・回収方法によるアンケート調査を実施した(各地域別200件)。その結果、高齢者を取り巻く「関係範囲」を「子世帯・親族・近隣・地域施設」といった4つの拠点に定め、それぞれの関係内容によってネットワーク居住の成立類型を分類した。特に、高齢・過疎地域においては、遠くに住む家族より近くに住む近隣との居住関係を重視する「近隣相互援助型」が多く成立されていた。なお、高齢者は「段差・浴槽・トイレ等」、住宅に不便を感じているが公的助成制度の認識が薄いことや拠点の一つである地域施設が充分機能していない現状を明らかにした。一方、韓国の農村地域調査では、全羅北道群山市周辺集落(八ヶ所、100件)及び全羅南道潭陽郡周辺の集落(四ヶ所、60件)に対して戸別訪問によるヒアリング調査を実施した。韓国では儒教思想が根強く残っている中、ネットワーク成立の違いが見られた。これから引き続き比較分析や地域調査を行い、ネットワーク居住の地域的特性や発達段階を解明していきたい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 金貞均,近江隆: "地方中小都市及び農山村地域におけるネットワーク居住の成立とその役割"日本建築学会計画系論文集. 第528号. 195-202 (2000)
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[Publications] 金貞均: "少子化における子育てと「ネットワーク居住」-「非血縁・ネットワーク居住」への期待を寄せて-"都市住宅学. 第29号. 33-38 (2000)
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[Publications] 金貞均,吉田亜希子: "徳島県における高齢者の居住実態"日本家政学会中国・四国支部研究発表要旨集 (第47回大会). (2000)
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[Publications] 吉田亜希子,金貞均: "総合的な学習の時間における高齢者学習の展開-徳島県における高齢者居住の実態調査に基づいて-"日本家政学会第53回大会研究発表要旨集. (2001)