2001 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱環境下の防護用マスクの改善とフィールドでの適用
Project/Area Number |
12680120
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Research Institution | Nagano Prefectural College |
Principal Investigator |
林 千穂 長野県短期大学, 生活科学科, 教授 (90132216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
登倉 尋實 奈良女子大学, 生活環境学科, 教授 (80027490)
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Keywords | 農薬散布 / 防除衣 / 防護マスク / 体温調節反応 / 局所冷却 / 発汗量 / 衣服内気候 / 着用感 |
Research Abstract |
昨年の実験結果から、「冷えピタシート(ライオンkk)」の冷却効果を高めるため、マスクに直接「冷えピタ基剤」を塗布したマスクを試作した。また冷却マスクと頭部冷却を併用した場合の冷却効果も検討するため、実験は「冷却付きマスク」のみの場合(A)とAに頭部冷却を併用した場合(B)について行った。 被験者は健康な女子学生6名とし、環境条件は昨年と同様に、気温28℃、相対湿度60%の人工気候室で、8〜9月にかけて行った。頭部冷却は野球帽の内側に小型の保冷具を5個(総重量55g)入れたものを用いた。冷却マスクと野球帽以外の着用被服は、半袖メリヤスシャツ、半ズボン下、農薬散布用防除衣上下(ゴアテックス製)、ソックスおよび運動靴とした。実験は、マスク以外の被服を全て着用後、15分間の椅座安静の後、AかBのいずれかの場合について、自転車エルゴメーターによる運動(Vo_<2m>ax)を15分間行った後、5分間の安静をはさみ、これを3回繰り返した。AとBの着用はランダムに行った。測定項目は、直腸温、外耳道温、心拍数、皮膚温、衣服内温湿度、体重減少量、および着用感の主観申告である。 実験の結果は以下の通りであった。1)外耳道温と前額皮膚温は、Bの方が有意に上昇が抑制された。2)マスク着用直前を基準としたマスク内温度はBの方が有意に上昇が抑制された。3)体重減少量および下着への付着汗量はBの方が少なく、Bの方が発汗が抑制されたことが示唆された。4)温冷感は実験後半にBの方が良好な傾向がみられた。以上のことから、頭部冷却の併用は冷却付きマスクのみの場合より発汗の抑制に効果があることが示唆された。今後は実際の農薬散布時にフィールドでの実験を行い、冷却付きマスクと頭部冷却の適用を検討したい。
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