2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680121
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Research Institution | University of Shizuoka,Shizuoka College |
Principal Investigator |
佐藤 宏子 静岡県立大学短期大学部, 助教授 (60165818)
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Keywords | 中年世代 / 老親扶養意識 / 扶養意志 / 老後意識 / 介護 / 老後生活 / 有配偶女性 |
Research Abstract |
中年世代は定年退職後の親を持ち、自分の親と配偶者の親の扶養問題が現実的になるとともに、将来の自分自身の老後生活についても考え始めている年齢層であり、今後の高齢社会において家族が果たす老親扶養・介護機能のゆくえに大きな影響力を及ぼすとともに、21世紀の高齢者のライフスタイルを決定づけるkey-generationとして注目される。そこで、本研究では静岡市に居住する中年有配偶女性に対して「中年世代の老親扶養と老後生活に関する調査」を実施し、老親扶養規範意識、老親に対する扶養意志、子どもへの扶養期待、対象者自身の希望する老後生活を明らかにすることを目的としている。本年度は、先行研究や既存調査の検討、調査票の作成、調査の実施、対象者の基本的属性及び調査項目の部分的な分析を行った。対象者選定には静岡市保健福祉部の協力が得られ、静岡市に居住する40〜55歳の有配偶女性1000人に郵送調査を実施した。有効回収率は41.5%、分析対象者は415人である。対象者の4分の1は自分または夫の親を介護した(介護している)経験を持っており、対象者の6割が親の扶養や介護を自分自身が直面する現実的な問題と受け止めていた。さらに、一般論としての老親扶養意識、相続意識に関する21項目について分析を行ない、次の4点が明らかになった。(1)対象者の90%以上が親は子どもに頼らない自立の姿勢が必要であり、実際問題として子どもが親の面倒を見きれない状態があり得ると考えている。(2)老後生活において夫婦の伴侶性が最も大切であり、最も頼りになるのは「夫」という認識が大勢を占めている。(3)息子同居、老親扶養に関する長男の義務に対して否定的な者が9割を超えており、性別や出生順位によって扶養義務に差があると考える者は少数である。(4)「夫の親の介護は嫁の義務」とする考え方は弱まっており、子ども全員の平等な分担と社会福祉サービスの積極的利用が支持されている。
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