2001 Fiscal Year Annual Research Report
貝類の嗜好特性の加熱・貯蔵による変化-なぜトリガイを生食しないか-
Project/Area Number |
12680125
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Research Institution | OCHANOMIZU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
畑江 敬子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (50156337)
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Keywords | トリガイ / 調湿シート / 鮮度 / ATPおよびATP関連化合物 |
Research Abstract |
昨年度の研究成果により、生トリガイ足部は貯蔵に伴い表面の黒紫色が退色することが明らかとなった。そこで、今年度は、黒紫色の退色を抑制するために、市販調湿シートを用いて貯蔵したときの品質保持効果について検討した。 試料として昨年度と同じ産地の活トリガイを入手し、生および加熱トリガイ足部を市販調湿シート(昭和電工プラスチックプロダクツ製商品名:レッドキーパー)を用いて、4℃で10日間貯蔵した。また、対照として調湿シートを用いないコントロール試料についても貯蔵試験を行った。生および加熱試料とも貯蔵中に重量は減少し、貯蔵10日目に生試料のコントロールおよび調湿シート貯蔵でそれぞれ元の重量の88%および68%となり、調湿シートがドリップを吸収していた。一方で、調湿シートを用いることにより、白さの度合いを示すL値の変化は抑えられ、トリガイ足部表面の黒紫色の色素が保持されていた。また、官能評価の結果から、コントロールに比べ、調湿シート貯蔵試料の方が、色の濃さや身の締まり方など外観が高く評価された。テクスチャー測定により、生試料の調湿シート貯蔵では、表面が乾燥により硬くなるが、内部は軟らかく伸びやすい状態となることが示された。さらに、生試料につき、ATPおよび関連化合物の貯蔵中の変化を調べたところ、コントロールでは、貯蔵3日目以降からATPの顕著な減少とヒポキサンチンの増加が認められたのに対し、調湿シート貯蔵は貯蔵3日目以降徐々にATPが減少し、5日目以降イノシンやヒポキサンチンが増加し、後者のほうが貯蔵3〜7日目までの鮮度が高く保たれていることが示された。 以上の結果から、トリガイ足部を調湿シートを用いて貯蔵することにより、外観が保持された。また、貯蔵中の鮮度指標がコントロールに比べやや優位にあった。一方で、貯蔵中の重量減少が大きいために、貯蔵3日目以降の試料では、表面の乾燥がみられた。
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Research Products
(1 results)