2000 Fiscal Year Annual Research Report
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12680143
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
山下 かなへ 椙山女学園大学, 生活科学部, 教授 (40080113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 慎 国立療養所中部病院, 長寿医療研究センター, 共同利用室長
池田 彩子 椙山女学園大学, 生活科学部, 助手 (80308808)
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Keywords | ゴマ / ゴマリグナン / α-トコフェロール / 脳の老化 / ラット / SAMP8 / 過酸化脂質 / 学習試験 |
Research Abstract |
脳の老化促進に活性酸素などフリーラジカルの関与が注目されている。申請者らはゴマ投与でビタミンE濃度が著しく増加し、過酸化脂質が減少することを認めた。そこで本実験では痴呆症の病態モデル動物として使われている老化促進モデルマウスP8系とラットを用いて、ゴマ及びゴマリグナンの投与で脳のビタミンEが上昇し、学習能力が改善するかを学習試験と脳のトコフェロールレベルから検討することにした。平成12年度はゴマ摂取による脳中α-Toc濃度上昇効果を、脳の部位による特異性に注目して高濃度ビタミンE投与と比較検討した。 方法としては、3週齢のWistar系雄ラットを、VE無添加飼料群(VE欠乏群)、α-Toc(50mg/kg)添加飼料群(α-Toc群)、α-Toc(500mg/kg)添加飼料群(高α-Toc群)、α-Toc(50mg/kg)およびゴマ(200g/kg)添加飼料群(α-Toc+ゴマ群)の4群にわけた。8週間飼育後、大脳、小脳、脳幹、海馬および肝臓を採取し、VE濃度を測定した。 その結果、α-Toc群の脳中α-Toc濃度は、小脳で最も低く、海馬で最も高く、海馬は小脳の2.7倍であった。また、大脳、小脳、脳幹および海馬中のα-Toc濃度は、α-Toc群に比べて高α-Toc群では有意な上昇は見られなかったが、α-Toc+ゴマ群で1.6倍以上に上昇した。一方、肝臓では、α-Toc+ゴマ群のα-Toc濃度は、α-Toc群と比べて有意に上昇したが、高α-Toc群よりも低値であった。 以上の結果から、脳中α-Toc濃度は、α-Tocを通常の10倍量摂取してもほとんど上昇しないが、ゴマを同時摂取することにより1.6倍以上に上昇することが明らかになった。このことから、ゴマの摂取はα-Toc濃度の上昇を介して脳の酸化ストレスを抑制する可能性が示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yamashita,K.,Kagaya,M.,Higuchi,N.and Kiso,Y.: "Sesamin and α-tocopherol synergistically suppress lipid-peroxide in rats fed a high docosahexaenoic acid diet."Biofactors. 11巻1-2号. 11-13 (2000)
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[Publications] Yamashita,K.,Takeda,N.and Ikeda,S.: "Effects of various tocopherol-containing diets on tocopherol secretion into bile."Lipids. 35巻2号. 163-170 (2000)
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[Publications] Ikeda,S.,Niwa,T.and Yamashita,K.: "Selective uptake of dietary tocotrienols into rat skin"J.Nutr.Sci.Vitaminol.. 46巻3号. 141-143 (2000)
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[Publications] 池田彩子,安本(白戸)知子,山下かなへ: "リグナン高含有ゴマのラット体内ビタミンE濃度上昇作用"日本家政学会誌. 51巻11号. 1017-1025 (2000)
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[Publications] 山下かなへ,丹羽貴子,加賀谷みえ子,笹井順,川村悦春: "ビタミンE同族体の生体内濃度におけるラットと鶏の比較"ビタミンE研究の進歩. IX. 48-54 (2000)
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[Publications] 池田彩子,小林桂,木曽良信,樋口直樹,山下かなへ: "ドコサヘキサエン酸摂取時のα-トコフェロール濃度の低下とセサミン摂取によるその上昇"ビタミンE研究の進歩. IX. 55-60 (2000)