Research Abstract |
蒟蒻精粉の製造時に生ずる飛粉を有効利用と環境負荷の低減化を図る観点から,超音波併用のアルコールによる精製法を試み,飛粉を新食品素材として開発し普及させる目的に研究を行った。 1.飛粉の精製に及ぼす超音波照射の効果:1997〜1999年度産の飛粉と超音波処理により精製した飛粉の組織構造,臭気物質,一般成分,食物繊維,無機成分,遊離アミノ酸含有量を比較した結果は,(1)走査型電子顕微鏡観察により超音波照射処理した飛粉(素材A)は成分粒子が分散形態であったが,非照射の飛粉(素材B)は部分的に粒子の凝集が観察され,照射が差異を生じさせ精製をもたらした。(2)素材Aは素材Bに比し3年間共通してTMA,DMA値が顕著に減少し,素材AはBの茶褐色に比べ明らかに淡い褐色に脱色した。飛粉は照射によりたんぱく質,遊離アミノ酸,脂質,灰分が若干減少し,炭水化物,食物繊維量が相対的に増加した。K,Ca,P,Feなどの無機成分は素材AB間に有意な差がなく比較的多く含有していた。従って,飛粉素材Aは新食品素材としての利用が期待された。 2.飛粉素材添加パンとカステラの性状及び食味特性:その結果は,素材Aは物性特性や食味特性に影響を及ぼすことなくパンには7%まで,カステラには7.5%まで小麦粉と置換できた。その両製品は色が淡い茶褐色であったが,パンとカステラの膨化率は無添加とほぼ同等値を示し,気孔も均一で,保水力が大きかった。クリープメータ(RE2-33005)測定のテクスチャー値では無添加品に比べ,パンの硬さは同等値,カステラでは値が小さく,凝集性は共に有意に大きく弾力があり,破断応力・歪は同等値又は小さく軟らかい特性を示し,食味では無添加品より素材A添加品が共に好評を得た。30℃・湿度80%RHの96時間保存ではパンのAw値は無添加品0.95に対し素材A添加品は0.93〜0.94を保持し,外観的な老化現象は進まなくカビ発生も無く,カステラでもパンと同様、保存性に優れ、品質改良を認めた。
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