Research Abstract |
蒟蒻飛粉の有効利用と環境負荷の低減化を図る観点から,飛粉を超音波併用の25%エタノール中で15分間浸漬処理を施し,その精製飛粉(素材A)の脱臭・脱色に成功した。更に素材Aの微細構造を解明し,成分は炭水化物,食物繊維,たんぱく質,無機成分など機能性成分が豊富に含有しており,有用な食品素材として期待されることを家政誌、(Vol51,2号,2000)と日本食生活学会誌(Vol12,2号,2001)に報告した。この飛粉素材Aを普及させる目的で,素材Aを食パンには7%,カステラ及びラスクには7.5%,ビスケットには10%までそれぞれ小麦粉に置換して製造したところ,従来の食パン,カステラ及びラスク,ビスケットに無い好ましい食感を付与し,保存性の向上がはかれることを見出し,飛粉添加食パンへの適性は家政誌(Vol 51,2号,2000)に報告した。平成14年度では,飛粉添加ビスケットへの適性を報文として日本食生活学会誌(Vol13,1号,2002)に報告した。また,蕎麦麺の麺の「つなぎ」として素材Aを添加した蕎麦麺を製造し,品質に与える影響を検討した。その結果では,精製飛粉素材Aの添加量は7.5%が最適で,この麺は蕎麦粉100%麺に比べ,吸水量は多いが,に茹汁への溶出量は少なかった。その上,物理学的特性値では蕎麦麺は硬く弾力性を備え切れにくくなり,伸びが抑えられた。官能評価でも蕎麦粉100%麺より好まれた。生蕎麦麺の微生物の成績では5℃で24日間保存中の生菌数は蕎麦粉100%麺では8日間で可食限界の3×10^6/gに増殖したが,素材Aの7,5%添加麺では15日間まで延長され,真菌数や酵母も10^2〜10^3/gレベルを保持し,差材Aの抗菌作用が期待された。素材Aが蕎麦麺の麺のつなぎとして有用な素材のみならず,生蕎麦麺の保存における品質保持剤としても優れていることを見出し,日本調理科学会誌(Vol35,3号,2002)に報告した。また,飛粉素材A7・5%添加カステラの性状,食味特性,保存性についての成果は家政誌(Vol54,4号,2003)に報文として掲載予定である。
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