2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680242
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
西林 克彦 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (70012581)
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Keywords | 算数 / 文章題 / 統合過程 / 立式 / 補助図 / トップダウン的アプローチ |
Research Abstract |
認知心理学の要諦のひとつは、情報処理に主体の認知構造が大きく関係するということであり、この立場に立って、文章題解決の困難さの問題を考え直すのが本研究の目的である。文章題の困難さは計算などの実行過程ではなく、文章を読み取る過程、とくに文同士の関係をまとめ上げる「統合過程」にある。しかし、「統合過程」は複合的で一足飛びに行われるため、細かい分析ができず、従来の分析的またボトムアップ的なアプローチでは困難を生じているのが現状である。 そこで本研究では、これまでのアプローチとは全く逆に、学習者に最初にスキーマを確立させ、それを使って文章題に向かわせるというトップダウン的なアプローチで、文章題の困難さを克服させる可能性を探る。 本年度の主な成果は以下のようなものである。 1.学習者の所持するスキーマの程度が、文章題解決能力を強く規定している結果を小学生から得た。これは、学習者のスキーマを強化することによって、問題解決能力の向上が期待できる前提となる。 2.小学校低・中学年では「関係文」とよばれる文の処理が困難であるが、この点に関しての学習指導法を確立した。 3.小学校低・中学年の「和」「差」の領域を中心に、演算の意味の明確化とテープ図などの図式を用いて学習者のスキーマ強化を図り、それが問題解決能力に反映される結果を得た。
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