2000 Fiscal Year Annual Research Report
家庭科における学習が生活事象に対する子どもの見方や考え方に及ぼす影響
Project/Area Number |
12680262
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
矢野 由起 滋賀大学, 教育学部, 教授 (00140054)
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Keywords | 家庭科 / 小学校 / 学習 / 生活 |
Research Abstract |
家庭科における学習内容は、子どもの日常生活と密接に関連しているため、日常生活経験は家庭科学習に大きな影響を及ぼす。したがって、家庭科学習内容に関わる生活上の事象について、学習前に子どもがどのような考えをもち、どのような見方をしているのかを知っておくことは、家庭科の授業を展開する上でも、また家庭科カリキュラムを考える上でも重要なことである。そこで、本研究では、家庭科学習前の子どもたちが、家庭科に関わる内容について、どのように理解し、どのような論理でそれを説明しようとしているのかを明らかにすることを目的とした。本年度はまず、小学校家庭科被服分野の学習内容について、質問項目を設定し、回答を選択肢より選ばせるとともに、なぜそう思ったのか、なぜそのように考えたのか、つまり回答した理由や根拠を自由に記述させた。自由記述された理由はKJ法により分類され、学年別に集計された。調査は、小学校4年生、5年生、6年生の計331名を対象に行なわれた。その結果、次のようなことが明らかとなった。1.下着に適した布については、いずれの学年においても正答率が高く、学年間における有意差はみられなかった。2.衣服の必要性および着替えについては、学年間で有意差がみられ、6年生の正答率が4年生より高かった。3.衣服が必要である理由として、いずれの学年においても最も多く記述されていたのは、「寒さを防ぐ」で、自分とのかかわりから衣服を捉えた記述や直接感覚的な記述が多かった。4.下着の布は水を吸う布がよい、と答えた者の中で、最も多かった理由は、「汗をすうから」で、学習前であっても下着の役割を理解していることがうかがえた。5.服が汚れたら早めに着替えた方がよい理由として、6年生では、衣服の機能低下について記述したものが多く、学習前の4年生との間に視点のちがいがみられた。
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