2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680276
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田邉 隆 愛媛大学, 教育学部, 教授 (80155192)
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Keywords | 表現 / Power包絡 / 音声 / 評価 / デジタル化 / 息の流れ / 客観化 / 音の連携 |
Research Abstract |
音楽的表現における熟達度について、聴取的な価値判断に対し科学的な照合を行い、客観的な提示方法を見出した。音楽的表現が熟達しているかは、当然聴取による価値判断が基本であるが、価値を判断する上で、いかなる観点についての価値判断であるかを明示することが重要である。 本研究では、音声表現における熟達を、「息が流れている状態」と捉え、この観点を顕著に示す波形解析の方法として、Power包絡の解析が有効であることを示した。さらに、音楽表現が熟達している、すなわち「息が流れている」表現の特徴を、Power包絡の視点から分析した結果、「0.02〜0.06秒の波形が連続的に存在すること」と、「0.001〜0.003秒の微細な波形が存在しないこと」の二つの条件が満たされる必要があることを示した。 価値判断する意味で、表現指導と鑑賞指導との有機的関連が、今後明らかにされ得ると考える。 また、音叉の原理で奏でるチャイム(商品名:トーンチャイム)を用い、アンサンブル表現における「音の連携」を評価の観点として、その熟達度について考察した。その結果、Sonagram分析が有効であることを示した。 さらに、音楽表現を評価する際に、過去の表現との比較が必要であることから、演奏データのデジタル化(MIDI及びWAVデータ変換)について、授業の実践を通し考察した。MIDIデータは、学習者へのフィードバック情報として、WAVデータは、波形解析情報としての蓄積に有効であることを示した。
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