2001 Fiscal Year Annual Research Report
移動オブジェクトと分散トランザクションを統合する分散システムの設計と実装
Project/Area Number |
12680335
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
佐藤 一郎 国立情報学研究所, ソフトウェア研究系, 助教授 (80282896)
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Keywords | トランザクション / 移動オブジェクト / モバイルエージェント / 分散システム / 2相トランザクション / 一貫性 |
Research Abstract |
当初の研究計画通り、前年度に設計した分散オブジェクトトランザクションを実装した。この分散トランザクションは移動オブジェクトを対象にしたものである。これは2相コミット方式を基礎とするが、クライアント側におけるトランザクションの不可分実行部分をトランザクションマネジャ側コンピュータに移動・実行させることにより、トランザクション処理時のコンピュータ間通信をオブジェクト移動だけに、通信失敗可能性を最小化し、効率化と耐故障性を向上させることができる。これは移動オブジェクトと複製オブジェクトの特性の両方を統一的に扱う分散システムに道を開くものであることが示された。特に移動オブジェクトは、これまで複製機構などは提案されておらず、移動先は常に一つに限られていたが、この手法を用いることにより、複製したオブジェクトを異なるコンピュータに移動させても、両者の内部状態を一貫性を保つことが出来ることになり、既存技術の問題を解決する点でも重要である。 これにより複製された移動オブジェクト間の一貫性を保証されるが、各複製オブジェクトに対する更新や参照事象への順序付けでは、移動性に対処するために、移動先コンピュータとオブジェクト移動に対応してタイムスタンプを組み合わせる方法を設計した。そして、一貫性を維持するスキームに関しては、移動中の複製オブジェクトに対する更新及び後戻り操作はシステム構成やアプリケーションの要求により相違することから複数方式を提案した。なお、実装では前年度に実装を行ったJava言語をベースとした移動オブジェクトの実現システムを利用して行い、オブジェクトのコンピュータ間移動に際しては、そのオブジェクトがもつインスタンス変数などの実行状態とともに転送し、転送先ではその実行状態から処理を継続できるようにした。
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Research Products
(1 results)