2002 Fiscal Year Annual Research Report
静電ポテンシャル壁の振動による電子のフェルミ加速に関する実験
Project/Area Number |
12680474
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
津島 晴 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (90171991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 修 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20313463)
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Keywords | 電子加速 / フェルミ加速 / 統計的加速 / 静電ポテンシャル / 電子雲 / 位相空間 / カオス / 島構造 |
Research Abstract |
宇宙線の加速機構と関係のあるフェルミ加速についてモデル実験をし、その基本的な性質を調べるとともに、静電ポテンシャルと荷電粒子の相互作用に関しても貢献することを目標として3年計画で研究を行った。まず最初の平成12年度で、実験系を製作し電子加速が生じることを確認した。引き続く平成13年度で、より良い条件で実験を行うために真空排気系を整備し残留ガスの影響をほぼ無視できる実験系を実現するとともに、電子源にLaB6を採用することによって実験の再現性を高めた。 以上の準備を経て、平成13年度から平成14年度にかけての実験でヘリウムガスを導入し、加速電子による漏洩電流が減少する様子から加速に必要な電子の往復回数が100から1000回であることを見出した。ここで、大きな加速エネルギーを得るためにはエネルギーの2乗から3乗で必要な往復回数が増えることも分かつた。さらに平成14年度で電子トラップの組み替えを行い往復距離を125cmから300cmに変えて電子加速による漏洩電流が得られる周波数が長さとともにわずかに現象する様子を観測した。これは、周波数が長さに反比例するというフェルミ写像による理論とは異なる結果である。一方、長さとともに加速電子の漏洩電流が増加する様子は、往復距離が長くなるとともに加速の限界エネルギーが増えるというフェルミ写像による理論予想と矛盾しない結果が得られた。以上の実験結果とフェルミ写像による理論との相違点は静電ポテンシャル壁の厚みに起因するものと考えられるが、この点に関してはまだ十分な結論を得るにいたっていないので今後の検討が必要である。
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[Publications] A.Tsushima, O.Ishihara, H.Takahashi, K.Miyahara: "Interaction of Electrons with an Oscillating Potential"Journal of Plasma and Fusion Research. S4. 591-594 (2001)