2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680515
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
紀藤 典夫 北海道教育大学, 教育学部・函館校, 助教授 (30214836)
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Keywords | 環境変動 / 温暖化 / 植生 / 花粉分析 / 最終氷期 / 完新世 |
Research Abstract |
函館市北東部の山間地に位置するアヤメ湿原(標高750m,41°54′34″N,140°50′02″E)から採取された堆積物のコアをもとに,AMS年代測定および花粉分析を行った.本年度の年代測定は8件である.特にコア最下部(約14000cal yr BPと推定される)およびコア中部(6000〜7000cal yr BPと推定)を中心に年代を測定した.これまでの年代測定結果もあわせて考察すると,コア最下部・中部のいずれの層準においても,推定される年代よりは若干若い年代値が得られた.花粉分析は,現在までにコア下部(8500cal yr BP以前)について,48層準の分析が終了した. 樹木花粉は,針葉樹が約11400cal yr BPに最大値に達した後,約10900cal yr BPに急激に減少し,それ以降はわずかに産出するモミ属を除けばほとんど産出しなくなる.カバノキ属も同様に,10900cal yr BP以降流入量が減少して安定する.コナラ属は,11200cal yr BPから流入量が増加し始め,その後も緩やかな増加傾向を示す. 11400cal yr BPまで続く針葉樹の増加傾向は,ヤンガードリアス期に対応し,その後約500年かかって消滅する.約11200cal yr BP以降のコナラ属の増加は,完新世初期の温暖化の影響と見られ,針葉樹の消滅はコナラ属が増加を始めてから約300年後に起こる.一方,コナラ属は少なくとも8500cal yr BPまでは,現在の流入量レベル(200grains/cm^2/yr)には達しない.草本花粉の変化は,樹木花粉の変化に遅れて起こり,ワレモコウ属の減少は,針葉樹の減少とほぼ同調している.これらの植生変化の年代と世界的な気候変化の年代との関係については,更なる検討が必要である.
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