2000 Fiscal Year Annual Research Report
NBS1遺伝子ノックアウトDT40細胞による放射線誘発DNA二重鎖切断修復の解析
Project/Area Number |
12680543
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田内 広 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (70216597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 賢志 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (80124577)
松浦 伸也 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (90274133)
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Keywords | 放射線感受性 / DNA修復 / 相同組み換え / 遺伝子ノックアウト / 遺伝疾患 |
Research Abstract |
本研究ではナイミーへン症候群(NBS)原因遺伝子NBS1が放射線によって生じるDNA二重鎖切断の修復にどのように関わっているかを解明することを目指している。平成12年度は、(1)高頻度で相同組換えを示すニワトリB細胞株DT40を用いて作成したNBS1ノックアウト細胞の表現型の解析と、(2)NBS患者由来細胞を用いたNBS1の機能ドメイン解析を行った。(1)についてはDT40細胞の3つのNbs1アリルをノックアウトしたNbs1-/-/-クローンが、NBS患者細胞と同じく、放射線高感受性や放射線抵抗性DNA合成に加え、染色分体型の染色体異常を高頻度で起こすことを解明した。また、ヒトNBS1遺伝子が、少なくとも放射線感受性に関しては、ニワトリDT40細胞のNbs1欠損を相補できることも明らかとなった。 (2)については、NBS患者由来の不死化細胞株GM7166VA7に、pIRES1hyg発現ベクターに組み込んだ完全長あるいはN末やC末を欠損させるようなNBS1 cDNAをエレクトロポレーション法により導入し、これらのNBS1 cDNA導入NBS細胞の放射線感受性や、放射線照射後4〜8時間後のRAD50/MRE11/NBS1複合体のフォーカス形成を調べた。その結果、C末側のアミノ酸665-693の領域にMRE11結合ドメインを見出し、このドメインがNBS患者細胞の放射線感受性およびNBS1複合体のフォーカス形成の両方に必須であることが明らかになった。このMRE11結合ドメインのアミノ酸配列は、酵母からヒトに至るまで保存されており、おそらくNBS1の最も重要な機能領域であると思われる。一方、最も良く保存されているN末のFHAあるいはBRCTドメインは、NBS1複合体の細胞核への局在と、放射線照射後のフォーカス形成には必須であるが、放射線感受性の相補には必須ではないことがわかった。このことからフォーカス形成はDNA再結合そのものには直接関与していないことが示唆された。
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[Publications] Tauchi,H: "Altered splicing of the ATDC message in AT group D cells results in the absence of a functional protein"Mutagenesis. 15. 105-108 (2000)
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[Publications] Tauchi,H: "Positional cloning and functional analysis of the gene for Nijmegen breakage syndrome,NBS1"Journal of Radiation Research. 41. 9-17 (2000)
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[Publications] Tauchi,H: "Mutation spectrum of MSH3-deficient HHUA/chr.2 cells reflects in vivo activity of the MSH3 gene product in mismatch repair"Mutation Research. 447. 155-164 (2000)
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[Publications] Matuura,S.: "Chromosomal instability syndrome of total premature chromatid separation with mosaic variegated aneuploidy is defective in mitotic-spindle checkpoint"American Journal of Human Genetics. 67. 483-487 (2000)
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[Publications] Hama,S.: "Absence of mutation in the NBS1 gene in B-cell malignant lymphoma patients"Anticancer Research. 20. 1897-1900 (2000)
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[Publications] Tauchi,H.: "The FHA domain of NBS1 is essential for nuclear foci formation after irradiation, but not essential for hRAD50/hMRE11/NBS1 complex DNA Repair activity"Journal of Biological Chemistry. 276. 12-15 (2001)