2000 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌撹乱化学物質が高脂血症発症に果たす役割に関する研究
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12680557
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Research Institution | Ehime College of Health Science |
Principal Investigator |
升野 博志 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助教授 (20116974)
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Keywords | 内分泌撹乱化学物質 / 高中性脂肪血症 / 3T3-L1脂肪細胞 / リポ蛋白リパーゼ / 分化誘導能 |
Research Abstract |
血中の中性脂肪の分解には脂肪組織で合成されるリポ蛋白リパーゼ(以下LPLと略す)という酵素が中心的な役割を果たしている。この酵素の活性が低下することが、高中性脂肪血症の一因である。本年度は、ある条件で培養すると脂肪細胞に分化することが知られている3T3-L1線維芽細胞を用いて研究を行った。使用した内分泌撹乱化学物質は、ビスフェノールA(以下BPAと略す)、ビスフェノールA二酢酸、ビスフェノールAビスクロロフォルメート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、オクチルフェノール、ノニルフェノールである。3T3-L1線維芽細胞を脂肪細胞に分化させた後、内分泌撹乱化学物質と共に培養し、LPL活性及びLPLmRNA量の低下を指標に、高中性脂肪血症発症にに関与する可能性のある物質をスクリーニングした。現在までに明らかになっていることは、10-20μg/mlの濃度のBPAがLPL活性を低下させた。 また、肥満症患者では高中性脂肪血症がしばしば認められる。肥満には脂肪細胞数増加型と脂肪細胞容量増加型の二種類がある。そこで3T3-L1線維芽細胞を内分泌撹乱化学物質存在下で培養し、LPLの発現と中性脂肪の蓄積を指標として、脂肪細胞の数を増加させる物質をスクリーニングした。BPAとその関連物質はいずれも分化を誘導し、脂肪細胞数は増加した。中でも20μg/mlの濃度のBPAは最も高い分化誘導能を示した。同濃度のオクチルフェノールとノニルフェノールは細胞に障害を与えた。 これらの結果は、内分泌撹乱化学物質は直接的あるいは間接的に高中性脂肪血症発症に関与する可能性があることを示唆するものである。
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