2001 Fiscal Year Annual Research Report
清掃工場周辺の酪農地域における有害元素降下物の同定とそのリスク評価
Project/Area Number |
12680560
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
颯田 尚哉 岩手大学, 農学部, 助教授 (20196207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 潔 岩手大学, 農学部, 教授 (70091642)
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Keywords | 清掃工場 / 牧草 / 降下物 / 有害元素 / 大気 / 土壌 / アンチモン |
Research Abstract |
本研究では有害元素に注目し、清掃工場から大気中に放出され降下物として周辺土壌環境を汚染する経路を対象に調査した。M市北西に隣接するT村には酪農地域の中に村営の清掃工場(処理能力30t/日:年間焼却量約1万t)があり、本研究の調査地点として最適な条件にある。今年度は清掃工場の近傍において、大気、牧草(リードキャナリーグラス)、土壌中の有害元素を中性子放射化分析法で測定し、大気環境中に放出され、降下沈着して周辺環境を汚染している元素を確実に同定することを目的とした。 水平方向の元素分布において、清掃工場から水平距離でおよそ200mまでの4地点では、土壌中Sb濃度は自然界値(1mg/kg)よりも大きな値(2倍)を示しているが、それを超えて離れるとほぼ自然界値を示した。高いSb濃度を示した牧草地内の土壌中鉛直分布は、地表面から深さ方向にSb濃度が減少してゆく分布を示している。蓄積深さは2cm程度であり、それより深い場所では自然界値を示していた。 また、牧草中のSb濃度において、清掃工場から200mまでの3地点では、平均して94μg/kgを示し、牧草もSbで汚染されていることが確認された。さらに離れた地点の牧草中濃度は、不検出〜28μg/kgであり濃度はかなり減少する。この牧草を水道水で洗浄したところ、清掃工場から200mまでの3地点では、平均して30μg/kgを示し、洗浄しない場合の1/3になった。牧草中のSbは植物表面に付着している成分が多く、水洗いで濃度を半分以下に減少させることが可能である。さらに離れた地点の洗浄済み牧草中濃度は、不検出〜27μg/kgであり、低濃度になると明確な洗浄効果はみられなかった。清掃工場から200mまでの3地点の大気では、平均濃度5.5x10^<-3>μg/m^3のSbが検出され、昨年の調査結果とほぼ等しい大気中Sb濃度を示した。 以上の調査結果より、清掃工場が継続的に周辺の牧草地を含む環境全て(土壌、大気、牧草)をSbで汚染していることが分かった。牛乳については、牧草地所有者の協力が得られず、分析できなかった。
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Research Products
(1 results)