2002 Fiscal Year Annual Research Report
清掃工場周辺の酪農地域における有害元素降下物の同定とそのリスク評価
Project/Area Number |
12680560
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Research Institution | IWATE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
颯田 尚哉 岩手大学, 農学部, 助教授 (20196207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 潔 岩手大学, 農学部, 教授 (70091642)
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Keywords | 清掃工場 / 牧草 / 降下物 / 有害元素 / 大気 / 土壌 / アンチモン / 健康リスク |
Research Abstract |
本研究では清掃工場から大気中に放出され降下物として周辺環境を汚染する有害元素に注目し、野外調査を実施した。その結果、清掃工場近傍において表面土壌中にアンチモン(Sb)が自然界値を越えて存在し、近傍(300m程度の範囲内)ほどSb濃度が高まっていることが水平分布、鉛直分布から確認された。牧草中Sb濃度も清掃工場から離れると減少すること、洗浄することでSb濃度が減少し、清掃工場から離れると牧草中Sb濃度が減少すること、さらに清掃工場近傍の大気中からSbが検出されることから、Sbは清掃工場に由来する有害元素降下物であると断定できる。 野外調査おいて清掃工場に起因するダイオキシン類以外の有害元素として同定したSbに注目し、Sbに関わる人間への健康リスクアセスメントに必要な知見を日本及び日本人について集積し、リスク評価モデルの重要な一部分となる人体内のSb挙動を評価する数学モデルの構造を検討した。その結果、鉛についての体内代謝モデルをSb独自の決定臓器(標的臓器)や排泄機構を考慮して改良することで、Sbについての体内代謝モデル案を構成した。今後は計算シミュレーションを実施して、モデルの改良およびモデルの検証を行ってゆく必要がある。 また、牛乳摂取にともなう人間へのSb曝露に関して最も重要な基礎資料となるSbの牧草への経根吸収特性をポット実験により把握した。その結果、ほとんど全ての牧草試料でSbが検出されることから、Sbは牧草に経根吸収されること、葉中Sb濃度が茎中Sb濃度を上回り、Sbは茎よりも葉に濃縮されることがわかった。土壌中Sb濃度が極端に高くなると牧草中Sb濃度は明らかに増加する。その場合、牧草の収穫を重ねても牧草中Sb濃度に変化がほとんどみられないことから、牧草が吸収できるSbの量には上限がある可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)